Long

□After Rain
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  After Rain



ぱたぱたと傘に落ちた水がはじかれ、その無機質な表面を流れていく。

これが本当の世界の姿。

古代種によって歪められたあの底知れない学園には許されない雨。

僕は何をするでもなく、ただただその雨粒と落ちていく軌跡を眺めていた。






ここがどこなのか、とか。


どうして僕はここにいるのか、とか。


…僕が誰で、どんな風に生きてきたか、とか。



そんなことはどうでもよくて、ただ純粋に何を考えるのでもなく、降り続く水滴とどんよりと曇った空を見ていた。

そういえば、この傘はどうしたのだろう。

前は傘なんて持っていなくて、濡れることだってどうでもよかったはずなのに。

そうだ、濡れたってかまわない。

むしろ僕はこの身体がいつか人を傷つけることを恐れていたんじゃなかったんだろうか。


そこまで考えて、僕は傘の柄を握る手の力が抜けていくのを感じた。

ことっ、という地面に傘が落ちる音と同時に冷たいのか温かいのかわからないけれど、雨が僕に落ちて…来なかった。

 
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