Clap
□FD side story
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case.5 Lagi By Alvaro
「やあ、お二人さん。なんだか今日はぎこちないねぇ?」
月曜日の朝一番、俺は偶然を装ってルルとラギが登校するところに割り入った。いつもと違い二人の間にはお互いに窺うような空気が流れていた。
「おい、なんか用か?」
「うーん…用っていうか、アドバイス?提案?」
うさんくせえやつ。
絶対にそう思っているだろう顔をする彼に対し俺は用意していた言葉をかけてみた。
「ねー、ルルちゃん。ラギくんにおいしく食べられる前に俺と遊ぼうか」
その言葉に思った通り、同時に二人の顔が赤くなった。ここまで素直な反応が来るなんて本当に面白い。
「な…なんのことだよ!!お、俺がなにをするって言うんだよ!!」
「あれー?"朝まででもつきあってやる"んでしょ?でもさ、いきなりそんなに頑張ったら多分ルルちゃん壊れちゃうよ?女の子は繊細なんだからさ、ラギくん」
俺の言葉にラギは絶句してルルの頬はより強く色づいた。
「ん?どうしたの、二人して黙っちゃって。もしかして…もうや」「ふざけんな!!」
恥ずかしくて何も言わないルルと対照的に、とうとうラギは怒り出した。
「あはは、冗談だよ。そんなに怒らないで。ねぇ、ルルちゃん?」
「え…えと、その…昨日聞いてたの?」
「うん、あんなところでいちゃいちゃしてたら聞いちゃうよね」
高ぶる感情をもてあましているラギは放っておいて、今度はルルをからかおう。そう思った時だった。
「おい、いい加減にしろよ。お前には関係ねー…ルル、行くぞ。こいつにつきあってたら間に合わなくなりそうだ」
さっきとはずいぶん違う、落ち着いた冷たい声でラギはルルの腰に手をまわしてぐいっと引き寄せた。
どうやら彼もいつまでも子供ではないようだ。ルルを守るために自分の感情を抑え込むことを覚えたらしい。
「はいはい、俺のアドバイスなんていらなかったみたいだね。ルルちゃん、ラギにひどいことされたら言うんだよ?」
「………」
はらはらと心配しているルルに対し、ラギは俺に一瞥を投げてさっさと歩いていく。
本当に彼女は面白い。周りの人々を簡単に変えてしまう。
こっちの世界に落としてみるのも一興か…