Clap

□FD side story
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case.2 Bilal By Noel



…どうして、僕がこんな思いをしなくてはならないんだ?


僕はちょっと前からエントランスに身を潜めている。鏡の前でカップルが僕がいることに気がつかずに、その…いちゃいちゃし始めたからである。彼らに見つかって気まずい思いをするのが嫌でとっさに隠れてしまったが、結果的に盗み聞きとなってしまい、やっぱり大変気まずい。

公共の場所でいちゃつくなんて僕には考えられないが、彼―ビラールの日々の発言から察するにファランバルドではそうでもないらしい。ビラールはルルの腰に手を回し、密着した状態でぼそぼそと話している。


…だが、ルルっ!!少しは抵抗しろ!!ここは学校の寮なんだぞ!!


しかし今の僕はこの憤慨をぐっとこらえて二人が鏡をくぐるのを待つしかない。今度ルルにそれとなく言おう、そう心に決めて。



「…そんな風に見るの、ずるい。これじゃいつまで経ってもここから離れられないじゃない……!!」


僕の聞いたことのない、困ったような、甘えたような声が聞こえてくる。冗談じゃない、早くそこから離れてくれ!!
そんな僕の願いが届いたのだろうか。その言葉のあと、二人の声が聞こえなくなった。…それでも一応用心して、僕はこそこそと鏡のほうを覗いてみた。









「……っ!!!!!!!!!」












二人まだ鏡の前にいた。しかもさっき見たときよりもずっと近い。…と、言うか。








キスをしていた。













どうして、どうしてっ…!!ぼくがこんな目に合わなくてはいけないんだ!!




僕はいつになったら出ていけるんだ…!!



 
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