連載

□みんなと雛祭り
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「マスター、これ、この枝が一番きれいだよ。」

『ほんと?じゃ、それにしようかな。すみません、これ一本下さい。』


近所の小さな花屋。買い物帰りにリンと二人。
目的はこれ、桃の花。
今日は3月3日。雛祭りの日だ。
うちにはリンがいるし、日本の行事だから、しよっかなって。


「かわいいね、桃の花って。でもこんなに細い枝にあんなおっきい実がついて大丈夫なのかな?」

『あはは、違うよ。リンが食べた桃はもっと太くて立派な木なの。これはね、鑑賞用、てとこかな。』

「あー、そうなんだ。」


リンは白い紙に包まれた桃の花に鼻を近付けて「良い匂い!」と楽しそうに笑った。










『皆ーごはんー。あ、カイトお味噌汁気をつけてね。』

「はい。」

「あ、ちらし寿司だ。」

『そうよ。今日は雛祭りだからね。リンも私も女の子だもん。ねー。』

「ねー!ちらし寿司、せっかくこんなにきれいなのに、食べるのもったいないね。」

「食べない方がもったいないじゃん。」

「む、レンってば!」

『はいはい楽しみながら味わってちょーだい。』


ミクは早速お皿に取り分けて食していた。早いよ君、


「この人形、いつまで飾るんですか?やっぱり今日まで、ですかね。」

『うん、今日までだよ。』

さっき買ってきた桃の花の横の、お内裏様とお雛様。
私が小さい頃におばあちゃんから貰った雛人形だ。
しまい遅れないように、ていつも言ってたなぁ。


『あのね、雛人形をしまい遅れると…嫁に行き遅れる、て昔から言われてるの。』

「そうなんだ!じゃあちゃんと今日中にしまわなきゃ!」

『だーいじょうぶ。リンはこんなにかわいいから行き遅れることなんてないと思うよ?』

「ま、マスター、褒めてもなんも出ないからねっ」

『あ、エビくれるの?ありがとー』

「「「(褒めたらエビがでた…)」」」

「リンはともかく…マスターだって大丈夫ですよ。行き遅れる前に俺が「あー」

「ちょ、遮るなよミク。」

「いやーちょっと耳障りな言葉が来そうな気がして?だってマスターを嫁に貰うのは「あー」

「…カイ兄、」

『私、レンに嫁ごうかな。』

「「「はあ!?」」」

『そんでリンを嫁に貰うの。わあ素敵。』

「え、リン、マスターのお嫁さんになるの?……いいよ!レンもよかったね!」

「な、い、いいわけ…」

『さ、お皿片付けよっと。』



お嫁さん、かぁ。
いつか私が誰かのお嫁さんになったら
そしたら、こんな楽しい家族がいいな。

なんて、ね。











:END


───────

日本の行事は大切にしましょーう!

2011年、雛祭りでした。




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