連載
□みんなと雛祭り
1ページ/1ページ
「マスター、これ、この枝が一番きれいだよ。」
『ほんと?じゃ、それにしようかな。すみません、これ一本下さい。』
近所の小さな花屋。買い物帰りにリンと二人。
目的はこれ、桃の花。
今日は3月3日。雛祭りの日だ。
うちにはリンがいるし、日本の行事だから、しよっかなって。
「かわいいね、桃の花って。でもこんなに細い枝にあんなおっきい実がついて大丈夫なのかな?」
『あはは、違うよ。リンが食べた桃はもっと太くて立派な木なの。これはね、鑑賞用、てとこかな。』
「あー、そうなんだ。」
リンは白い紙に包まれた桃の花に鼻を近付けて「良い匂い!」と楽しそうに笑った。
◆
『皆ーごはんー。あ、カイトお味噌汁気をつけてね。』
「はい。」
「あ、ちらし寿司だ。」
『そうよ。今日は雛祭りだからね。リンも私も女の子だもん。ねー。』
「ねー!ちらし寿司、せっかくこんなにきれいなのに、食べるのもったいないね。」
「食べない方がもったいないじゃん。」
「む、レンってば!」
『はいはい楽しみながら味わってちょーだい。』
ミクは早速お皿に取り分けて食していた。早いよ君、
「この人形、いつまで飾るんですか?やっぱり今日まで、ですかね。」
『うん、今日までだよ。』
さっき買ってきた桃の花の横の、お内裏様とお雛様。
私が小さい頃におばあちゃんから貰った雛人形だ。
しまい遅れないように、ていつも言ってたなぁ。
『あのね、雛人形をしまい遅れると…嫁に行き遅れる、て昔から言われてるの。』
「そうなんだ!じゃあちゃんと今日中にしまわなきゃ!」
『だーいじょうぶ。リンはこんなにかわいいから行き遅れることなんてないと思うよ?』
「ま、マスター、褒めてもなんも出ないからねっ」
『あ、エビくれるの?ありがとー』
「「「(褒めたらエビがでた…)」」」
「リンはともかく…マスターだって大丈夫ですよ。行き遅れる前に俺が「あー」
「ちょ、遮るなよミク。」
「いやーちょっと耳障りな言葉が来そうな気がして?だってマスターを嫁に貰うのは「あー」
「…カイ兄、」
『私、レンに嫁ごうかな。』
「「「はあ!?」」」
『そんでリンを嫁に貰うの。わあ素敵。』
「え、リン、マスターのお嫁さんになるの?……いいよ!レンもよかったね!」
「な、い、いいわけ…」
『さ、お皿片付けよっと。』
お嫁さん、かぁ。
いつか私が誰かのお嫁さんになったら
そしたら、こんな楽しい家族がいいな。
なんて、ね。
:END
───────
日本の行事は大切にしましょーう!
2011年、雛祭りでした。
: