連載
□みんなと過ごす終わりと始まり
1ページ/1ページ
「まーすたー、熱計った?」
『ん、うん。6度5分ー』
12月はあっと言う間だ。
「え、まじでか!」と言う暇もなかった。
街中がイルミネーションでキラキラと輝いてクリスマスがやってきて…
終わったらもうお正月モードだ。
…私はクリスマスに友達と遊び倒してから体調が悪く、薄着で年賀状を出しに行ったら風邪をひいた。
「下がったね。」
『でしょ?ミク、じゃ、今からでも皆で神社に…』
「だめ。」
『う、でも、』
「だめったらだめ!熱が下がったからって弱ってることには変わりないんだから。」
うちの子たちは心配性だ。
私はもう平気なのに。
…それに、あー、もう無理だ、この時間じゃ…
「そーだよ!大人しくしてよう?炬燵あったかいし…ほら、私のむいたみかんあげるから!」
『あ、ありがと、リン。』
「マスター、お茶どうぞ。レンは?何も飲んでないけど。」
「おれは平気。ありがと。」
「…マスター?」
『……へ、あ、お、お茶おいしいよカイト、ありがとね。』
「や、そうじゃなくて…なんか元気ないなぁって思って。」
『そんなことないよ。』
「あ、下むいた。僕を騙せると思ってるの?」
「いやーマスターの嘘はおれでも分かるよ。」
わ、私ってそんなに分かりやすいかなぁ。
『…あの、だってさぁ、皆でさ、神社でカウントダウンしたいって言ってたでしょ?…ごめんね、私のせいで…』
私がそう言うと、皆は不思議そうに顔を見合わせた。
レンが、何だそんなこと!と言って笑った。
「確かにそんなこと言ってましたけど…取るに足らないことですよ。
そんな、神社じゃなくたって皆で年越しできるじゃないですか。
あなたと居られれば、それで十分です。」
「そうだよマスター!」
「もちろんだよ、ほらそんな顔してないで。(ちっカイ兄に良いとこ取られたな)」
「ほらマスター、ティッシュ。」
『う、ありがと皆あぁぁズビー!』
ああ、私って幸せ者だよね。
また来年も君たちと過ごせるなんて。
これから先も、ずっとずっと、皆で、
『あと2分…』
「いろんなことありましたね今年も…」
「楽しかったなぁ…来年も楽しくなるよね!?」
「お、おれに聞くなよ。なるんじゃないの?」
「来年はカイ兄解雇…」
「なんだと!?」
カチッ…
あ!
いっせいに顔見合わせて、
全員の口元にじわじわと笑みが広がっていく。
時計の針は12時。
私たちの新しい年が始まった。
『皆、今年もよろしく!そんで、いっぱい歌おうね!』
:END
────────
ずっとずっと、君たちと、
: