「あっ姐さん!」
「姐さんはやめてください。ぬっ殺しますよ」
「スイマッセンしたぁぁぁぁぁぁ」
妙の後ろに明王が見えるのは、気のせいではあるまい。
山崎は戦慄した。
さすが姐さん。スタンドを使いこないしてやがる。
「山崎さんはお休みですか?」
「ええ」
なんだかんだ言っても、妙は山崎を年上として一応立ててくれる。
意にそわぬ事への鉄拳以外は、おだやかで控えめだ。
「妙さんは買い物ですか」
「ええ。歳の瀬の」
持ち上げる買い物袋には、餅や乾物、屠蘇の素と、正月を迎えるための材料が詰まっていた。
「あ、持ちますよ。送らせてください」
「あら悪いわ」
「いや〜、暇をもてあましてたんですよ。是非」
買い物袋に手をかける。
妙の力が残っている状態でもずしりと重い。
旦那は何してんだ。新八くんも。あとゴリラ。こんなときこそストーキン力を発揮しろよ。
山崎はひっそり眉をしかめる。
「あの、山崎さん。本当にいいんですよ」
山崎が荷物を、妙の手から完全に奪い取ったその時、
「これはお妙殿」
「あら、……ヅラ、さん?と」
「桂とエリザベスだ」
「…………」
ええうっそぉぉぉー。
ここで桂?いま桂?
まじっすか。
買い物袋を持ち上げたまま、顔を上げられない。
「銀時を訪ねたのだが、家には居ないようでな」
「銀さんなら家に居ますよ。門松をつくってくれてます」
「そうか。ではお邪魔してもよいだろうか」
ええうっそぉぉぉぉ!