文伊祭り

□くすぐったい
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食堂を後にする文次郎の背中をうっとりと見送り、伊作はため息をつく。

「もう、文次郎ったら。男前……」

あんな男前スマイル一年ぶりぐらいじゃない?
しかも心配されちゃったし。
気をつけろだなんてっ。

むふふふ、と花を飛ばす先輩を、後輩たちは気味悪げにしているが、もちろん伊作は気付かない。

「なぁ」
「なに、八」
「俺さぁ、前から気になっててさぁ」
「あの人のことなら、見ぬふりをしろ」
「や、でも気になんねぇの三郎は!」
「知らぬが仏って諺もあるしね」
「ほら、雷蔵はかしこい」
「臭いものには蓋じゃね、それ」
「そうともいう」
「兵助! 兵助はっ。気になんねぇのっ」
「八、食べないんなら、その豆腐くれ」
「やだもうこの子! 聞いてすらいないっ」
「恋仲なのかね、潮江先輩と善法寺先輩」
「勘右衛門、直球! 俺、濁したのに」
「人前でいちゃつきすぎだよね」
「雷蔵様!?」
「いちゃついているのか? むしろ善法寺先輩がおかしいだ「兵助。いちおう本人がそこにいるから」
「べつに恋仲ではないんじゃないのか」
「でもさ、潮江先輩は、善法寺先輩にはわりと優しいよね」
「基本的に優しいぞ、あの人。明後日の方向だけど。……なに雷蔵」
「いや、三郎は潮江先輩のこと、けっこう好きだよね」
「あ。そうだよなぁ」
「八左ヱ門……」
「あ、俺のカツ!」









お題のくすぐったいって、使い方間違えただろうか。
書いてる間こそばゆかったが、そういうことでは無い?
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