山土

□どんなもんですか?
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不毛だ。
大の男が廊下の暗がりで言い合いなど。
土方が先に戦線離脱した。
「弟とかに聞きゃいいじゃねーか」
新しい煙草をくわえながら土方は「仕事戻るわ」と近藤の脇を抜ける。
「なあ、トシ」
いつも通りに涼しげな男前を見て、近藤はふと聞いてみたくなる。
「お前は山崎をどう思ってんだ」
「あン?」
なにを言ってんだ。眉間のシワを深めて振り返った土方は、口から煙草を離してけろりと言った。
「アルミ灰皿」
「へ?」
「でっかいやつな」
にやり。唇に笑みを刷く。
「でっかいアルミ灰皿?」
そのこころは
「頑丈で使い勝手がいい」
山崎は可哀想だな。と己の身とくらべても充分に可哀想だと近藤は深く同情した。
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