山土

□追憶は山入端
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「ホント、死ねばよかったのに」
「まだ言うか!なんですか、今日はちょっと酷くないですか。冗談にもほどがありますよ、沖田隊長」
「俺は冗談なんか言わねーぜ」
まじと真っ直ぐに目を見られ、山崎はなぜか気恥ずかしさを感じる。
それは沖田の顔つきが、いつもより幼く感じるせいだろうか。
黙っていれば白貌の美青年は、しかしいつもドス黒い心に満ちているので灰色だ。総悟を未成年と扱うものは少ない。ヘタをすれば、そこらの大人より狡猾だ。
「なぁ、山崎ィ。お前さんが死んでも、土方さんは悲しまなかったよな」
「う、忘れてたのに……。今さらなんですか」
傷ついたとポーズをとって、山崎がへこたれる。
「オメーはあんなにつくして、悔しくねぇのかい」
ガラスで出来たかのように、感情の無い透明な眼で視られてみろ。
真実を吐露せずにいられない。
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