銀妙

□アイカントピュアフル
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橋を渡ると、遠い山の空が白み始め、暖かに色付きつつあるのが見えた。
川面が映していた墨色に白く透明な筋が入る。
夜が明ける。
家路をたどる、つもりだった。
今日はさすがに疲れたと、すこしばかり俯いて歩いて、気がつくと歌舞伎町駅の前だった。
眠らぬ街が一瞬だけ、昼と交代するためにつくため息のような時間。
誰も居ない。
ぼんやりと巨大な駅を見ていると、やがて始発を迎え入れるために働く人の気配が盛り上がる。
もう昼の時間だ。
ネオンはおやすみ。
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