ひぐらしのなく頃に

□ひぐらしのなく頃に 哀 [第壱話・視える、視えない]
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電車に揺られ、約1時間半。
ようやく、お目当ての雛見沢村についた私は、座りっぱなしで少しダルくなった身体を起こすように、うーんとけのびをした。

「ここが、雛見沢かぁ…!」

私の身体を吹き抜ける風が、とても涼しい。
夕暮れ時だという事を知らせる様に、ヒグラシが鳴き始める。

―ヒグラシの声を聞くと、何だか懐かしいような、寂しいような、そんな妙な気持ちになる。

……この世界で、自分はたった独りの様な感じがして、私はつい、自分の肩を抱いてしまった。

それは、例えようの無い感情。

そんな考えを振り切るように、私は両手を広げ、水田や畑ばかりの田舎道を走った。

誰も居ないんだし、変に思われないよね?

「…ふふ、あははっ!」

笑いながら、大声で笑いながら、空を仰ぐ。

その声は、自嘲している様な、もしくは無理をして笑っている様な…、そんな、変な笑い声だった。
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