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□ごちゃまぜカウントダウン企画
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保健室のベッドは、一人で寝るとシーツがあったまるまでに時間を要する。つまり、布団でぬくぬくな思いをするためには、少しとはいえ寒い思いをしなければならないのだ。
「だからって、私を引っ張り込むことないでしょう…!」
「子供は体温が高いからな。湯たんぽ代わりに最適なんだ」
「だったら哉太とかでもいいじゃないですか!」
「生憎だが、俺は男2人で体温を共有する趣味はない」
ぎゅう、と抱き締める力を強くすれば、無駄に足掻くアイツの腕の可動域がまた狭まった。
「っ、もう、先生ってば!」
「あー、足が寒い」
「ひゃあ!?」
まだまだ暖まる気配のない布団の中で、スカートが短い故に露出されたアイツの足に冷えた自分の足をぴと、とくっつけてやったら、今まで聞いたことないくらいの高い声が響いた。
「な、な、な何やってるんですか…!?」
「あーあったけー…」
「せ、セクハラですよ…!」
顔を真っ赤にしてじたばた藻掻く細い身体は妙に体温が高くて、徐々にベッドの中も暖まってきた。
「…ホントに湯たんぽみたいだな」
「うぅぅ…放してください…」
逃げられないことを悟ったのか、抵抗がピタリと止んだ。
しかも、放せと言うわりに、身体はぴったりとくっついてきた。
「寒いからもう少しこのままな」
「……もう少し、だけですからね」
不服そうな顔なのに、声はどことなく嬉しそうで。
こんな風な幸せが感じられるなら、冬も案外悪くないな、とか。
『真白に包まれて』
(春より、夏より)(秋よりも、)(冬だからこそ)(わかる熱なのです)
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