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□ごちゃまぜカウントダウン企画
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寒空から冷たい風が降りてきて、僕と彼女の頬をひゅるり、と撫でていった。
「……寒いね」
「ですねー…」
僕より頭一つ半分低い位置にある彼女の肩が、ふるり、と小さく震えているのが見える。
彼女も僕も、マフラーは巻いているし手袋もはめている。コートもちゃんと着ているけれど、いかんせん、彼女はスカートなのだ。寒いのは当たり前だろう。風邪を引いたりしたら大変だ。
いささか唐突かもしれないけれど、許可を取ろうとすれば確実に拒まれてしまうから、強行突破させてもらうことにした。
「っ、ほま、れ、さん…?」
「ん、ごめんね?でも、あったかいでしょ?」
僅か5センチだけあった隙間を、彼女の華奢な肩を引き寄せてゼロにする。
一瞬身体を強ばらせて顔を朱に染めた彼女は、それでもすぐに僕の体温に安心したかのように、ふわ、と笑った。
「誉さん、暖かいですね…」
「……それはよかった」
また、寒空から冷たい風が降りてきて、僕と彼女の頬をひゅるり、と撫でていった。
今度は、君の肩は震えない。
「……暖かいですね」
「うん…」
『体温分配のススメ』
(分けあって)(与えあって)(そして交ざりあう)(幸せの温度)
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