青の祓魔師2

□そりゃ傲慢だ
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【雪男+藤本】




雪男がコーヒーを飲みに食堂へ行くと、藤本がいた。珍しいことでもないが、ふと、こうして二人だけになるのは久々だったことに気がついた。というよりも教会で顔を合わせるのが久々だった。
祓魔師としてはよく顔を会わせるのだが、なぜか教会では顔をなかなか会わせない。お互い忙しい身の上だ。

「なんか、久々だね」
「ん〜そういえばそうだな」

藤本もそれに気がついたのか、苦笑して頷いた。雪男は自分のカップをとりながら、ちらりと藤本のカップも見た。飲みきったのであろう、すでに中味はからだった。
雪男は少し考えて聞いた。

「お代わりいる?」
「お! いれてるか?」
「うん」

藤本のカップを受けとると、雪男はコーヒーを入れた。少し肌寒いので指先がホカホカと暖かくなるのが気持ちよい。
そんな雪男を見ていた藤本だが、何かを思い立ち席をたった。そしてすぐに戻ってきた彼の手にあったのはクッキーの入った缶だった。

「メフィストに貰ったんだが、今開けちまおか」
「いいの?」
「最近頑張ってるからな、ご褒美だ」

そう言って笑う藤本に、雪男は恥ずかしそうに顔を背けた。もうご褒美で喜ぶような年でもないのだが、彼の中で雪男たちはいつまで子どもなのだと知る。
それが気恥ずかしくも嬉しく思ってしまう。
師としては厳しい人だが、父としてはどこまでも暖かい。だから嫌いになれないのだろう。

「燐が帰ってくるまでに旨そうなやつくっちまおうぜ!」
「もうー父さん!」

しかしそんなこと言いながら、燐が好きなものはきちんと残しているのを知っている。
そんなことを考えながらクッキーに手をつけていた雪男だが、その手がとまった。何を食べようか迷っている訳ではないらしい。その証拠に視線はクッキーではなく藤本に向いている。

「どうした雪男?」
「あ〜、父さんに聞きたいことが……」
「なんだ、言ってみろ」

コーヒーを飲み見ながら、軽く言う藤本に雪男は躊躇ったが、しかし思い切って言ってみた。

「父さんって、フェレス卿のことが好きなの?」

あまりのことに藤本はコーヒーを吹き出してしまった。







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