青の祓魔師2

□光を愛す
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【藤メフィ】



処々の事情で溜まってしまった書類を裁いていると、扉をノックする音が響いた。返事をする前に開く扉に、メフィストは苦笑した。誰かなんて聞かなくても分かる。

「こんにちは、藤本神父」
「よう」

どこか心あらずな藤本に首を傾げながら、メフィストはそばにいた者を下がらせた。彼といるときはできるだけ他人を交えたくない。
それはべつに他意のある行動ではないが、おおよそ他意のある行動と映ることが多い。だから藤本はしつも、その行動を皮肉げに眺める。だが今日は違った。

「藤本……?」
「ん〜?」

部屋に備え付けられたロングソファに腰かけたが、メフィストを見ようとしない藤本。肘掛けに手をおいて扉を見つめている。
不機嫌そうでもあり、思い悩んでいるようでもある。こうまで感情を露にするなど、彼の息子たちに関することしか思い至らなかったメフィストは率直に聞いた。

「あの子達になにかありましたか?」
「燐の力が一段と強くなったが……何もない」
「それはそれは、喜ばしい」

メフィストの計画にとって燐の覚醒はなくてはならないキーだ。いや、覚醒なくして計画は始まらないと言うべきか。
だが藤本にとってそれは一番あってはならないことだ。だから彼はメフィストの言葉に顔をしかめた。

「やめてくれ」
「……そうですね、私の末の弟の平安も大切だ」

そう言いながらも、メフィストの顔は皮肉に歪んでいる。ため息をついて藤本は言った。

「メフィスト・フェレス」
「なんでしょう、藤本獅郎」

メフィストは持っていたペンを置いて藤本を見ていた。背後の窓の外は晴れわたり気持ちのよい陽光が溢れている。
それなのになぜだろう。こんなにもメフィストの纏う空気が重いのは。






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