青の祓魔師2

□約束
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【夢主+藤本】



時乃が久々に祓魔塾を歩いていると、目の前から藤本が歩いてきた。ちょうど講義が終わったのだろう、些か肩がチョークで白くなっている。

「よう時乃。珍しいな、お前がこっちにいるなんて」
「うん。ちょっと暫くいないから鍵とか扉の保守点検を」

苦笑きみに言う彼女の言葉に獅郎の表情が変わった。何かを考える素振りを見せると、人差し指で空いてる指し示す。言いたいことは予想がついたので頷いてその教室に入った。誰も入らないように鍵を閉めるのを確かめると、獅郎は口を開いた。

「ヴァチカンへの長期出張らしいな」
「ええ、今ヴァチカン本部には鍵師が在籍してないからしかたないんだけど……ね?」
「……もう、15年か」

時乃の口調の意味を理解して獅郎はそう呟き深くため息をついた。
世界に存在する鍵師は現在四人。鍵師は悪魔と混血した者の血筋から生まれる。特にその血筋は特殊で、その土地に根差していた。だから原則として出張という形で仕事は受けることは出来ない。
だが時乃は例外中の例外だった。それに、

「やっぱり奴さんがた、メフィストを信用する気はねぇんだな」
「まぁ理事長は悪魔ですし、怪しまれることはいくつもしてますからね」
「で、そのツケを払わされるのが時乃ってわけだ」

藤本はケラケラと笑いながらそう言った。しかし笑っている本人も怪しまれている一因であることを、彼女は自覚してほしいと思っている。

「まったく、めんどくさい」

そういいながらも、その瞳に本気で嫌がる色はない。自分にしかできない仕事だとい自負がある。それがひいてはメフィストの為であると知っているからこそ。







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