Novel

□Patience
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ガタンゴトン、ガタンゴトン……。

揺れる電車の座席で、俺は必死に耐えていた。
苦しすぎて前のめりになる。

(はやく、駅に着いてくれ……!)

心から願った。
しかし、それとは逆に長く感じる時間。
あとどれくらい揺られれば良いのだろうか?
腕時計を見ると、駅まであと五分。
もう少し、もう少し。あと少しの辛抱だ。
俺は涙目で耐え続ける――。

* * *

始まりは今朝の朝食。
期限切れになっていたマヨネーズを
はやく食べしまおうと、
そのまま食べてしまった。
期限の日付は約二か月前。

今日は休日だから、
電車へ乗って出かけようと思った。
県外は流石に遠いと思ったから、
市外へ向かうことに。
本当は近藤さんを誘おうと思ったけど、
何やら忙しそうだったから誘うのは止めにした。
だから、今日は一人でのんびり過ごす。
そう決めた。
電車に乗るのは毎朝通勤のときだけで、
休日に乗るのは久しぶり。
移り変わる景色を眺め、
やはり田舎は良いなと思った。
通り過ぎる田や民家は目に優しかった。

まだこのときは大丈夫だった。
良い一日が過ごせる予感がして、
わくわくしてた。
これから何が起こるんだろう、
どんな所へ行こうか?
そんな呑気なことを考えていた矢先、
悪夢が俺に襲いかかった。

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