Novel

□銀ちゃんの執事
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「おはよう、十四郎」
「おはようございます、銀時様」

これが俺たちの一日の始まり方。
互いの目を見つめ合い、十四郎は跪いて、
俺の手の甲に口付けをする。
そんな挨拶を交わす――俺たちは
主人と執事の関係だった。


俺・坂田銀時は中学二年生で、
恵まれた家庭に産まれた。
通っている学校も生徒全員が
お金持ちというエリート校で、
それぞれ一人ずつ執事も雇っている。
俺の執事は、土方十四郎。

十四郎は顔も性格も頭も良く、
運動神経だって並み以上だ。
いつも俺のわがままを聞いてくれるし、
頼りになる存在である。
そんな十四郎をいつからか、
恋愛対象として見るようになっていた。


「十四郎!」

通学前の朝食時間。
同じフロアで観葉植物に水やりをしていた、
十四郎を呼ぶ。

「何でしょうか、銀時様?」
「これ、食べさせて」

そう言って卓上のパフェを指さす。
少し困ったように溜め息を漏らしたが、
すぐにスプーンを手に取った。

「はい、お口を開けてください」

スプーンに乗った、
チョコソースとバニラアイスを

「あーん」

と、大きな口で出迎えた。
いつも通りの美味しさに満足し、
にっこりと笑みをこぼす。

「十四郎だーいすき!」

俺は十四郎に抱きついた。
けれど、嬉しそうな十四郎の表情を見て、
俺の気持ちには応えてないと感じた。


こんなに口にしているのに、
どうして”好き”という気持ちが
伝わらないのだろう……?
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