高×土novel


□Trick or Treat!
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 Trick or Treat!

「とりっく おあ とりーと!」
今日はハロウィンである。
子どもたちが仮装をして、近所の家を徘徊するお祭りだ。
「とりっく おあ とりーと!(お菓子をくれないといたずらするぞ)」と言って回ると
大抵の家がお菓子を用意して待っていてくれる。
そんなわけで幼馴染で同じクラス(四年三組)の
近藤(いっちゃん)、沖田(そうご)、山崎(さがる)、土方(トシ)もお菓子をゲットすべく
仮装をして廻ることとなった。

 + + +

「トシ、行くぞ〜!」 
「いっちゃん、ちょっと待って!」
奥からかわいらしい声が聞こえてくる。
四人の家のうち、一番中心に位置するトシの家で集合となったので皆やってきたのだった。
少ししてトシの母が出てきた。
「ごめんなさいね、今すぐ来るからちょっと待っててね!
ハイ、これ、お菓子」
といって、それぞれのかぼちゃのバケツに
お菓子を入れていく。
「ありがとう、おばさん!」
口ぐちに言ってほっこり笑んだ。

いっちゃんは、魔女の仮装で、黒いとんがり帽子に黒いマントをひらひらとはためかせている。
総悟は、海賊のような格好で、口ひげを蓄え、太刀を腰からぶら下げている。
さがるは、かぼちゃ色の丸い帽子にかぼちゃの形のパンツを履いている。
それぞれハロウィンの仮装にぴったりのかわいい魔法使いやら海賊、かぼちゃお化けだ。

そして…トシがやっと
「みんな、待たせてゴメンーー!」
と出てきた。
その姿に皆目をまん丸に見開く。
「か、かわいいなァ!トシ!」
「馬子にも衣装ですねぃ」
「………か、かわいい」

トシがもじもじしながら
「お母さんが作ってくれたのがこれしかなくて…」と俯いてしまう。
「いいじゃないのぉ、かわいいわよぉ」
 トシの格好は、黒猫の格好で、猫耳、黒マント、黒く長いしっぽがぴょんと出ている。しかも、黒いスカートがシフォンで出来たふわふわのワンピを来ていたのだった。
艶やかな長い黒髪が後ろで束ねられてトシを知らない者は女の子と見紛うほどだ。
「ぼく、男なのにッ!」顔を真っ赤にして言う。
「大丈夫よぉ、仮装なんだからァ」
「そうだぞ!それにかわいいから全然問題ない!」
「いっちゃん…ホントか?」ポッと頬を赤らめる。
「まぁ、そんじょそこらの女子よりゃマシな作りをしてるかもしれねぇですねぃ」
「もう、ほんと、かわいすぎますぅぅぅ!」
他の二人も追随した。

三人が賛同するのでようやく仕方ない、という風ではあったが
「じゃぁ…言ってくる…」
母にぼそりつげて、
かぼちゃの入れものを携えて出かけていったのだった。
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