検証:アニメ化の功罪

□「原作なき物」の映像化に関する考察
1ページ/1ページ

@『根本的にクイーンズブレイドはアニメ化に向いてない』


まず、原作の無い作品の映像化というのは無理がある。


多少小説等はあるかもしれないが、クイーンズブレイドの基本はゲームブックである。

そこに

「原作」となる物語はさほど無い。

だからこそ、好きなキャラに感情移入して好きに妄想して楽しむことができた。

それを一方的な映像を見せられることによって否定されるのだ。


しかし例えば、既に漫画等で描かれているものがほぼそのまま映像化されるのは、まず問題が無い。


北斗の拳を例にしてみようか。


北斗の拳読者は「ユダ様」というキャラがどんなキャラか、漫画で読んで既に知っている。



…キモくてイタいキャラだと。


しかしユダ様ファンはその、キモくてイタい部分を判った上で好きなのである。


それをそのまま映像化したところで、何のトラブルも生じない。


だがクイーンズブレイドはどうか。

基本、ブックやガイドブックに断片的に紹介されたキャラ情報を各々のファンが独自に解釈し、理想的な妄想を膨らませていることだろう。


北斗の拳ならば、ジャギぱんファンもアミバ様ファンもユダ様ファンも、既に描かれたイタイ部分も含めてファンなのだが


クイーンズブレイドは各々が好きなキャラを稀代の英雄、究極の美少女と信じて疑っていないのだ。

イタイ部分や情けない部分がブックで紹介されていたとしても、その解釈のさじ加減は各々違うのだ。


例えばジャギぱんのブックがあったとする。

漫画「北斗の拳」が無かったとする。


するとどうなるか…。

「コイツ、仮面がめっちゃカッコええ!」

と思う。

そして『北斗神拳の伝承者争い、義弟に敗れてしまった。そして狂気に歪んでしまった』
的なことが文章でサラッと紹介されている。

「うーむ、可哀想なキャラだ。俺は応援するぜ」と思う。


しかしそれが漫画になる。


全くいいトコなくケンシロウに一方的にやられる。


そんな描き方されたら当然

「ふざけんな!」

と思うだろう。

通常の漫画、そしてそのアニメ化というのはまず物語が先行し、後で各キャラのファンができる。


しかしクイーンズブレイドはキャラが先行し、既に各々のファンが付いている。

そこから物語を作ると、トラブルが生じる。

物語の起承転結をつけるには、どうしても損な役回りを押し付けられるキャラが必要になる。


「みんなでお手々つないでゴールイン」というワケにはいかないのだ。


ニクス嬢の件はああいう扱いをされたのは全く意味不明なのだが


ドラちゃんと究極の激愛戦士デルモア殿は

「必要悪」

といえる。

原作のブックを見る限り、そんなに悪いことはしてないハズのご両人だが、物語を作る上では

「倒されなければならない悪い奴」

じゃないと話が成り立たないのだ。


「別に倒す必要は無い、そんなに悪くない娘」

を倒したところでレイナ姫が単なる戦闘バカになってしまうだけなのだ。


だが、いくら話の進行上やむを得ないとはいえファン的には、好きなキャラが悪役にされたのでは、たまったものではないだろう。


そこのところにアニメ化の無理がある。
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ