炎の使い手冒険記
□九章:決意と旅立ち!
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捕縛されているレイナ姫だったが、盾を持った手だけは自由だった。
…本当か?ヲイ。
前ページの絵はどう見ても両手縛られてるぞ?
きっと、フニクラ様がニクス嬢の考え=「レイナ姫を見極め育てる」ということに賛同して、拘束を弛めたんですね。
んで、盾をフニクラ様の目に投げ付けます。
フニクラ様悶絶。
利き腕じゃない方でクリーンヒットとは…
レイナ姫スゲー。
鍛えればエキドナ姐さんばりの両ききになれそう。
そして斬りかかってきます!
キ、斬ラレル!!
我らのアイドル=ニクス嬢大ピンチ!!
しかし!
服一枚斬らせて寸前でかわします。
凄すぎるぜー!!!
…レイナ姫が手加減した?
うむ、確かにしたにはした。
そりゃあの娘は恩人を斬れるほど極悪非道ではないからね。
でも、敵を砕き打ち倒す剛の拳しかできん娘だから、寸止めするつもりが勢い余って斬りかかってしまったのだ。
凡人なら斬られてます。
剛を制する柔の拳を身に付けているニクス嬢だから、かわせたのだ!
間違いない。
でなければ服が破けるハズは無い。
実は余裕でかわしてもよかったのだが…。
レイナ姫に柔の拳、そして寸分で攻撃をかわすという極意を伝授したかったのだ。
だからあえて服一枚斬らせて見せたのである。
この戦いはレイナ姫の成長に大きな糧となったであろう。
レイナ姫も成長し、ニクス嬢の目的も果たされ、めでたしめでたし。
この先も世界を救うために戦い、もしまたレイナ姫と相まみえる時には強敵(とも)として立ち塞がり胸を貸そう。
そして、もしレイナ姫が民のために仁慈の王道を歩むことになったのなら、従い手助けするのも悪くないかも…。
などと、ぼんやり考えながら、決意と旅立ちのニクス嬢。
しかしレイナ姫、天然なところは、ちと治ってなかったようで…。
「フニクラは危険だから棄てよーよ」と。
いやいやいや。
じゃあ、ガッツ殿に
「狂戦士の甲冑は危険だから棄てよーよ」
と言えるかね?
なきゃ仲間を守るために戦い抜けんでしょ。
危険は重々承知だが、無いと絶対困る。
だから髑髏の騎士もシールケ嬢も
「気を付けろ」
とは言っても
「棄てろ」
とは決して言わないのだよ。
ガッツ殿ほどの漢とて、シールケ嬢の援護なくてはまだ狂戦士の甲冑を制御しきれてはいないのだ。
人智を超えた魔具など、そうホイホイ簡単に使いこなせるものではない。
ニクス嬢もまだフニクラ様を完全には支配できていないが、つい近日拾ったばかりなのだから仕方あるまい。
いずれはきっと使いこなせるようになると思うし、世界を救う使命があるのだから、一時の感情で棄てるべきではない。
よってレイナ姫の天然意見は却下し、二人はそれぞれの旅路に就く。
そこでニクス嬢は後に、よき強敵(とも)ノワ嬢と相まみえることになるのだが、それはまた別の話。