炎の使い手冒険記
□七章:宿命の対決!
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「民をいじめる悪い女は誅殺する!」
と勇ましく挑むニクス嬢。
…民!!
ニクス嬢を突き動かしているのは「民」という言葉。
やはりこのお嬢には女王の格がある。
でも、ニクス嬢は権力欲で女王を目指しているワケではない。
世の中を良くしたいという純真な思いである。
何気にリスティさんも近い思想を抱いていたりする。
が、ニクス嬢やリスティさんが武力行使に頼らざる得ないのは、為政者ではないから。
現政権を打倒する以外に民の世を築く方法がないから。
だがもし、今の政権が無血で良い方向に行けるなら、その方がよっぽどいい。
そう考えた場合、レイナ姫は希望の星といえる。
多少恩知らずでKYな面もあるが、エキセントリックな姉や妹に比べれば相当マトモな人物である上、ヴァンス家の継承者。
彼女が仁慈の心に目覚め、善き為政者となってくれたら…。
戦いながらにレイナ姫の人柄や内に秘められた可能性を見い出したニクス嬢。
拳を交えて相手の素性が判るのも、主人公キャラの属性である。
この乱世を治める大木となりうる器なのか…確かめなければならない。
今は未熟でも、大木となりうる器なのかもしれない。
ニクス嬢は戦いながらにレイナ姫を見極め、そして育てようと考えた。
だから、将軍配下の屈強の兵士達を一蹴した獄屠拳は使わず、あえて弱め軽めの技を多用して様子を見ている。
口先では
「消し炭になってくたばっちまいな!」
と乱暴なことを言うが、これは甘チャンの姫に実力を出させる為の鼓舞である。
レイナ姫とて、さすがに命の恩人に対して本気は出しづらいだろう。
だが、ここでアッサリ敗れるようでは、時代を治める大木にはなれない。
ここは、なにくそ!と踏ん張ってもらわねば困るので、あえて乱暴な言葉で檄を飛ばしているのである。
そうこうしてるうちにレイナ姫は
「フニクラ破壊すれば勝てるんじゃね?」
と気付きます。
真っ向勝負でニクス嬢を退けた姉と違い、弱点を攻める以外に勝つ手立てが見つからない、歯が立たないようです。
そういえばレイナ姫とリスティさんは互角だったらしいので
弱点を衝かれなければ…ニクス嬢はこの二人より強いという図式が成り立ちますね。
やっぱ強えーぜ!
命を懸けた真剣勝負はスポーツではないので、反則という概念はありません。
どんな手を使っても生き残ればOKです。
なのでレイナ姫の作戦は倫理的に全く問題はありません。
さて、はたしてうまくゆくでしょーか!
次回を待て!!