炎の使い手冒険記
□五章:死すべし怪魔稲妻剣!
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世界を変えるほどの力を手に入れたニクス嬢は真っ先に、諸悪の根源である貴族=ヴァンス家を討ちに行く。
狙うは、クローデット将軍様の首。
私怨でエリナ嬢…ではなく、世のために将軍の命を狙ったのである。
後に「リベリオン」で暴君となるクローデット将軍の隠れた凶悪な性を見抜いての行動であることは言うまでも無い。
単身、悪の枢軸へ戦いを挑むとは、風見志郎並みの勇気と行動力といえよう。
群がる雑兵は一蹴。
カッコ良すぎるぜー!
しかし将軍には惨敗。
だがこれは全く恥じることは無い。
あのケンシロウですら、初戦でシン様に南斗獄屠拳で一蹴されユリア嬢を奪われ、ラオウ様初対決の時はレイのボウガンがなければ危うく死ぬところだったし、サウザー様にも初対決で一蹴され、マザコンカイオウごときにも一蹴される始末であった。
強敵にブチ当たって挫折を味わうのは主人公キャラの王道である。
ニクス嬢は
「命惜しくば去れ!」
とまた優しすぎる忠告を与えたが、将軍はナメてかかった。
結果論としては将軍の圧勝でニクス嬢の惨敗であるが、実際、そんなことは無い。
ニクス嬢は断己相殺拳的な究極奥義を放てば将軍を殺すことは十分可能だったが、彼女を失いたくないフニクラ様はマジメに力を貸さなかったのだ。
確かに今、ニクス嬢が相討ちでも倒れれば地球は悪の手に沈む。
対ラオウ様戦初陣の時に(死にかけてる)レイがケンシロウに対して、
『相討ちでもそれは負けと同じだ!』
『この世を救えるのはお前しかいない!何が何でも生きろ!』
的に止めたのと同じである。
あと、ニクス嬢が将軍に対して怖れを抱いていたことは見逃せないポイントである。
かつて戸愚呂弟は言った。
「相手の強さが判るのも強さのうち」
と。
そう、ニクス嬢は強いのだ。
だからこそ、クイーンズブレイド界でも屈指の猛者である将軍の実力を肌で感じ取ったのだ。
これがモヒカンだったら
「こんな半裸女、犯していたぶってやるぜ〜」
なんて挑んで稲妻剣でアベシだろう。
運を呼び込むには、我慢の時もある。
だから迂濶に相討ち勝負を挑まず、やむなく撤退した。
また、無事撤退できたとは特筆すべきことである。
一般的に戦(いくさ)は攻めるよりも逃げる方が難しいという。
ましてやハイヒールを履いたお嬢である。
将軍がよっぽど鈍足なのか、ニクス嬢が超俊足なのか…。
まぁどっちでも構わんが、救世主が生き延びたことは希望である。
風見志郎でさえサザングロスに単身突撃して暗闇大使に取っ捕まってダブルタイフーンを破壊される憂き目に遭った。
(漫画:spirit)
だがお嬢はまだ何の能力も制限されていない。
きっと特訓の末に必殺技を会得して、次回は将軍を討ち取れるだろう。
それが主人公キャラの王道。