☆Other Novel

□あまあけ
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振り向くと、よく見知った金色の髪。
同じ色を宿した瞳が僕を映す。

「雨の中、一人でお帰りですか?」
「…そう、だけどっ」

まだ心臓がバクバクしている僕をよそに、彼は悪びれもなく話しかけてくる。

「なんで、杏里入れてやらなかったんだ?せーっかく
あ・い・あ・い・傘vできるチャ〜ンスだったってのに!」
「園原さんはロッカーに置き傘があったんだよ」
「さーっすが杏里!優等生は違うな〜」
「って、なんで入ってくるの」

正臣は無理やり傘の中に入って来ようとした。
ただでさえ小さい折り畳み傘に、高校生の男子2人が入るなんて無理な話だ。

「なんでって・・・ずぶ濡れの親友を見て可哀そうって思わないのか!?」
「べつに?」
「非道!」
「そんなにずぶ濡れなら今さら傘に入ったって同じじゃん」
「あんまりだ!!」
「しつこい男はモテないよ?」
「み、帝人・・お前・・・っ」
「え、っちょ!そんなにへこまないでよ」

この男はなんでこんなに浮き沈みが激しいかな・・・
まぁ、その変化を楽しんでる僕もよっぽどだと自覚はしてるけど。


「・・・うそだよ。ほらっ、入ったら?」
「うっ・・うっ、うぅ〜」

泣きマネをしてるのかと思ったら、この人ほんとに泣いてるよ・・・
・・・めんどくさい。

「お前、いまぜってーめんどくさいって思っただろ」
「うん」
「即答!?」
「だって嘘ついてもイミないでしょ」
「そういうのはもっとオブラートに包んでだな」
「もっとめんどくさ」
「ストーップ!!これ以上俺の繊細なハートを傷つけないでく・・っ、くしゅ!」


 
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