キョン
□、
2ページ/2ページ
「キョンくんの?」
「ああ、悪いな」
足元の消しゴムを拾い上げてそっと俺の掌に乗せた。
その時の***の笑顔は天使だった。聖女だった。女神だった。とにかく萌えた。
一瞬だけ触れた柔らかい指の感触を噛み締めて、ハルヒの方を振り向いた。
「全くお前は…一体何度言えばわかってくれるんだ?
急に背中を刺すんじゃない」
「うるさいわね、授業中よ」
「はいはい…」
用がないのに刺すな、と心中で悪態を吐いて再び正面を向く。
傍から見れば黒板を見ている様にしか見えないだろうが、視線はしっかりと***だけを捕らえている。
可愛い、可愛過ぎる。
さて、二限目は待ちに待った体育。俺にとって体育は***の可愛過ぎる体操服姿を拝める幸福極まりない時間なのだ。
校庭で男子がサッカーを行っている隣で、女子は棒高跳びを行っているのが見える。今ちょうど***が助走位置にいて、走り出そうとしている。
跳ぶ瞬間を見つめていると、俺の顔面にサッカーボールが華麗にヒット。犯人は谷口だった。あいつめ…、わざとか?
「はは!余所見するからだぞ!」
「谷口…おぼえてろよ…」
「キョン……目がまじだぞ」