キョン
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また、一緒に、カラオケ…?
「なあ、***…アイツらって、一体誰のことなんだ?」
「キョン、く…っ!?」
華奢な肩を掴むと同時に、教科書を詰め込んだスクールバッグが音を立てて床に落ちる。
「おい、答えろ!!
男なんだな、男と遊んだのか!」
「ごめ、なさ…」
「なあ***、お前はずっと俺だけの***だよな!?俺と会わずに他の男達と時間を使ったのか、カラオケに行ってそうやって笑ってたのか、俺以外の男と喋ったのか!?」
俺が守ってきていたものを簡単に、くだらない男どもに晒していたって、そう言うのか…?
…そんなの、冗談だよな?
あの笑顔は俺だけに向けられるべきものなんだ。
こうして痛がる顔だって、怯えてる顔だって、周りの目を気にしている顔だって、全部。
「キョンくん、皆が見てる…」
「なあ、そうだよな?」
「え…なに、が」
「違うのか!?なあ!!」
ぐ、と顔を歪めた***の体は壁に追いやられていた。
俺達の周囲には完全にギャラリーが出来上がっていて、文化祭並に騒がしくなっている。
そんなこと、どうだっていい。
***は俺だけのものであって、他の男達が見て、話して、触れていいわけがない。
その保証が、事実が欲しい。
「なあ、***…!」
「痛いよ、キョンくん…っ
ごめ、なさ…ごめんなさい!」
「…男の名前、言ってみろ
今すぐ殺してやる!誰だ!!」
「ごめ…っ、ごめんなさ…!」
脇腹に、鈍い痛みを感じる。