キョン
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その日以来、例の男子からの連絡はぷつりと途絶えた。
それどころか、彼はその日から一度も登校してないらしい。
帰り道の別れ際の様子がどこかおかしかったのもあって、キョンくんの仕業じゃないかと疑ってならなかった。
…でも、そんな目立つ行動はしてなかったはずだし。
「***、どうした」
「え、あ……」
「部室に来ないから一人で帰ったかと思ったぞ?」
スクールバッグを肩にかけて教室の出入口に立つキョンくんの元へ歩み寄る。
どちらからともなく手を握り、寂しい廊下を歩く。
「…最近あの人からね、メールが来なくなったの」
「そうか……嫌なのか?」
「そうじゃなくてっ、あれだけ毎日しつこかったのに不思議だなって思って…」
「俺が殺したって言ったら、お前はどうする?」
「え…」
今、何て言ったの?
キョンくんが、…殺した?
「そん、な冗談…やめてよ」
「冗談なんかじゃない
こうやって首を締めたら…顔を真っ青にして白目剥いて、」
突然首を掴まれて、身動きが取れなくなる。
恐怖で涙さえ流れなくて、息苦しくなることだけを感じた。
私も殺されるんだ、と目を伏せた時、大きな笑い声と共に首が解放された。
「ばーか、全部冗談だよ」
「は…っ、」
「苦しかったな?」
ぎゅ、と抱き竦めながら唇を重ね合わせるキョンくん。
さっきまでとてつもなく怖かった人が、皮肉にも安堵を与えてくれている。
「さ、帰るぞ」
「うん」