キョン
□無防備な君を
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「私、キョンくん嫌い」
「…はいはい」
「毎日私でしてたんでしょ」
「ああ、毎日な」
「へ…変態っ!」
ぎゅうっと俺の背中に抱き付く***の柔らかさを味わいながら、ゆったりペダルを漕ぐ。
こうなるのを予想して自転車で登校したわけじゃないんだが、この重なる偶然には少々寒気を覚えた。…そもそも襲うつもりなんて微塵もなかった。
「なあ、***」
「何?」
「もう少し、その無防備さを何とかしてくれ」
密着し過ぎて背中に胸の感触が嫌でも伝わってくる。
さっき見えた下着と言い、男が喜ぶサービスが満載過ぎやしないだろうか?
「…キョンくんだけだもん」
「今の言葉、俺の今夜の最高のおかずになるな」
「も…キョンくん嫌い!」
こんなところを谷口にでも見られたらとんでもないことになるんだろうな、と思いつつも自転車を漕ぐ足を止め、俺は***の方を振り向いた。
ちゅ、と音を立てて口付けすれば、真っ赤になったのを隠す様に俺の背中に顔を埋める。
「好きになってもらえるよう努力するさ」
「………もう好きだよ」
「ああ、知ってる」
そうでもなきゃ、こんなに背中があたたかい筈がない。
このままこいつを乗せて掠ってしまいたいくらいだが、そこはぐっと飲み込みその力でペダルを踏み締めた。
「ねえ、遅いよキョンくん」
「安全運転だ」
掠わない代わりに、ゆっくり帰ることにさせてくれ。