キョン

□被写体
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震える手でフォルダを開くと、尋常でない数の画像。


全部全部私。私だけ。




「なに…これ…っ」


眩暈と吐き気がした。

どうして、私の授業中の姿が、登下校中の姿が、塾へ向かう姿が、友達と笑い合う姿が。


食堂へ向かうことも忘れて、ただその場にへたり込んだ。




「……***?」

「キョン、くん…っ」

「誰が座り込んでるかと思えば…***、お前はいつから不良なんかになったんだ」

「キョンくん…助けて…!」



力いっぱい愛しい人に抱きついて、助けを乞う。

ぼろぼろと涙を流す私を見て異常を察知したのか、キョンくんはしゃがみ込んで私を抱き締め返してくれた。


この上なく安心して、携帯を手から落としてしまった。

再びかしゃんと音を立てた携帯は、昼休みが始まってまだ十分程しか経っていないことを私に教えた。



「あ…これ、どこにあった?」

「廊下で、今…見付けて…」

「そうか、ありがとな
…で、一体何があったんだ」




ねえ、ちょっと待って。
ありがとうって、何?
私が今何かいいことしたの?

その携帯は、誰のもの?



「ねえ、キョンくん…」

「どうした?」

「それ、キョンくんの…?」


優しい笑顔で私の頭を撫でていた彼が、一瞬手を止めた。



「見たのか?…携帯」

「違うよね?嘘だよね?
キョンくんがこんなこと、」

「綺麗に撮れてるだろ?」



屈託のない笑顔でそう言い放つキョンくんは、私の恐怖心を煽るだけに過ぎなかった。




 
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