キョン
□放課後狂詩曲
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放課後、今日の活動はハルヒがさっさと帰ったためさっさと終了となった。最高だ。
さて、迎えに行かねば。
「…おやキョンくん、まだ帰らないのですか?」
いつもの貼付けた様な笑顔で問う古泉。
やはり嫌でも気にしないといけないみたいだ。
「…教室に忘れ物だよ」
「最近よく忘れるんですね?
それでは……また、明日」
「ああ」
古泉に背を向けて歩き出す。
少しばかりしてから奴の足音が聞こえてきたので、俺は片手を挙げてヒラヒラと振った。
「…何もなければいいのですが…何も、というわけにはいきませんでしょうね」
古泉が何か呟いたみたいだが、俺には聞き取れなかった。
部活動で賑やかな運動場とは正反対の一年生の廊下。
あのクラスの手前で立ち止まって、静かに壁に凭れる。
まだ、終わっていない様だ。
ガタンと物音がして、扉に向かってくる一つの足音。
扉を開いて俺の姿を見ると、彼女は目を大きく見開き固まってしまった。
「……キョンくん?どうして」
「日直だったろ、お疲れ
さあ、一緒に帰ろう」
「…私っ、一人で帰るから」
そう言って俺から距離を広げる***の腕を掴む。
そうやってびくっとする反応でさえ愛おしい。
「…どうしていつも私を待つの?
キョンくんは私の彼氏じゃないんだよ?だからこんなこと」
「俺は***が好きだし、***も俺を好きなんだろう?
両思いなんだったら一緒に帰るくらいいいじゃないか」
「キョン、くん…?
ねえ、待ってよ…、そんなこと誰が言ったの?」
「言わなくたって***のことは解るに決まってるだろ?
ほら、早く帰るぞ」
力任せに腕を掴んで歩く。
引きずられながら俺に可笑しい、どうかしているとばかり繰り返す***のが可笑しい。
こんなにも俺のことを愛してるくせに、何を嫌がることがあるのだろう。
まあ素直じゃないところもまた可愛くていいんじゃないか。