キョン
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「おい古泉、ハルヒが…」
放課後、九組の扉を開く。
また何やら閃いたらしいハルヒは一刻も早く団員を召集したいらしく、なかなか姿を現さない古泉を呼びに当然の如く俺は走らされたわけだが。
教室を見渡しても古泉はおらず、代わりに***が机に俯せているだけだった。
誰かを待っているのだろうか、何か悩んでもいるのだろうか。
俯せているから解らないが、起きてはいるだろうと声を掛けて近寄ってみる。
「***、古泉を知らないか?早く見付けないとまたハルヒに…って、寝てるのか?」
僅かに見える横顔を覗く。
髪を掻き上げてみても目を閉じたままなところを見ると、本当に熟睡している様だ。
…まったく、放課後に教室で寝る奴があるかよ。
隣の席に腰掛け、人差し指で***の頬を軽く押してみる。
ふに、と可愛らしい音でも鳴りそうな程の柔らかさに、何度もやってしまう。
それでも起きない程ぐっすりなこいつはもはや尊敬に値する。
まあ、実際俺はただ呆れ返っているだけなんだが。
何となく、***の後ろ髪を束ねて持ち上げてみる。
所謂ポニーテールの状態だ。
片手で緩く束ねているだけの纖かな髪から、後れ毛が艶っぽく垂れてくる。
無性に愛しくなって、やり場のないこの感情をどうするべきかも解らず、ただその白いうなじに舌をのばした。