キョン

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「谷口く、」

「どうした***
谷口に何か用でもあるのか」

「あ、ごめんね…
谷口くん、今日日直だから」



小さな両手に握られた日誌を取り上げて谷口に差し出す。
それを受け取ると谷口は盛大に溜め息を吐いた。



「おいキョン、お前なあ…
俺***ちゃんとお前を介さずに話したことねえぞ?
つーかお前を介さずに話してる男を一度も見たことねえっ!」

「だから何だってんだ?
そんなのどうだっていいだろ」

「全っ然よくねえ!!
お前どんだけ束縛してんだっ」


教室の生徒全員を振り向かせる様な大音量で怒鳴り立てる谷口から日誌を取り上げてその角を脳天にお見舞いしてやる。

相当痛かったのであろう、これまたでかい声で雄叫びを上げて更に怒りを増した谷口とそれを宥める国木田を背に、***の手を引いて教室を後にする。




「キョンくん、部活…いいの?」

「ん、今日は特例だ
ハルヒに急用があるそうでな」

「そうなんだ、」


やわらかい表情でマフラーに顔を埋める***。
誰が見ても幸せそうなこの笑顔が愛しくてたまらなかった。

昇降口へ向かう途中、角から飛び出してきた女子と軽く肩がぶつかった。
ごめんなさい、と顔を上げたその生徒は確か隣のクラスで、***とも親しくしている。



「なんだ、***の彼氏」

「どーも、悪かったな」

「二人で下校?熱いねえ…
そうだ***、アイツらがまた一緒にカラオケ行こうってさ
じゃあ、またね」

「あ、ちょっと…!」


 
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