キョン

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「メールがしつこくてさ、」

「…***、誰だって?」

「あ、おはようキョンくん」

「ああ、おはよう」



キョンくんは自分の座席に鞄を置くと、女友達を押し退けて私の前の椅子に腰掛ける。

そしてぐい、と私に真剣な顔を近付けて重々しく口を開く。
それはまるでキョンくんがいつも愚痴を漏らしている古泉くんと全く同じ動作だ。




「…で、一体誰だって?
そのしつこいメールの犯人は」

「犯人って大袈裟な…
隣のクラスの人、前言ってた」

「前言ってたってまさか…
***に告白した奴か?」


苦笑いを浮かべて頷く。
キョンくんは心配性なのか、この手の話にはやけに敏感で。

結局私は鐘が鳴り授業が始まるギリギリまで、メールの内容を問い質された。













「キョンくーん、帰ろ」

「ん、ああ」


SOS団の扉を開き、遠慮がちに顔を出す。
涼宮さんに軽く会釈をして、二人で靴箱まで向かう。


「そうそう今朝ね、涼宮さんから初めて挨拶してくれたの」

「そりゃあ珍しいな
台風でも来るんじゃないか?」

「きっと快晴だよ」


他愛のない話をしながら廊下を歩いていると、不意に携帯が震え出す。小さく溜め息を吐いたのを見逃さなかったキョンくんは私から携帯を取り上げて画面を凝視する。



「こいつは…彼氏気取りか」

「あは、返信しなくちゃ
キョンくん携帯返して?」

「……ああ、悪い」


 
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