キョン

□被写体
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「***ー、まだあ?」

「ごめん先行ってて!」



お弁当をスクールバッグから引っ張り出して、教科書やノートまで引っ張り出す。

バッグの奥底に転がっていたお箸ケースを遂に見付けると、ほっと安堵の溜息を漏らした。

お箸って忘れると結構厄介なものだったりする。


それらを持つと、私は焼きそばパンが売り切れるとか何とかで先に行った友達がいる食堂へと向かった。






「えっ」


かしゃん、と小さな音と共に廊下を滑る黒い物体。

近付いてそれを確認すると、誰かの携帯電話だった。



「やば…蹴っちゃった…」


慌てて拾い上げてあらゆる角度から携帯電話を見る。
幸い傷はないみたいで、先程よりも深い安堵の溜息が出た。




誰の物か確認する為、と自分に言い聞かせて携帯を開く。
……好奇心じゃ、ないから。





「……わた、し?」


表示された待受画面には、体操着姿の女子高生。
高いアングルから撮影されたそれは、まさに盗撮と言う言葉がぴったりだった。

…だってこれ、授業中だよ?

校舎内から撮影されていてその人物は鮮明でないが、容姿は私に似た雰囲気だった。



「でも、うん…有り得ない」


ぽつりとそう呟いて、その携帯のデータフォルダを開く。
一つ、見慣れた名前のフォルダが視界に飛び込む。



私の、名前。





 
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