shelved novels

□FF神崎有能説
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 そうこうしている間に皆さん続々とやってきて、サークル室は随分と賑やかになっていました。菜月先輩や圭斗先輩もいらっしゃって、いつでもサークルが始まりそうなスタンバイは整います。

「ん、それじゃあ今日も各々ファンフェスに向けていろいろやっててください」
「例によって適当じゃないか」
「アナウンサーならトークを練ったり、ミキサーなら曲を選んだり、やることはあるだろう?」
「まあな」

 言うが早いか、菜月先輩はルーズリーフにさらさらとネタを並べ始めました。アナウンサーの面々が普段どのようにしてトークを練っているのかというのを見る機会はないので、これはこれで興味深いですね。

「圭斗先輩は随分余裕ですね」
「ん、僕くらいになるとその時には案外やれているものでね」
「何言ってるんだ、ネタが浮かばないだけのクセに。ま、お前の場合ネタを出してあっても早々に逆キュー振ってミキサー泣かすんだろ。やめてくれよ、仮にも定例会議長が」
「はい、すみません」

 菜月先輩からキツク釘を刺されてしまえば圭斗先輩も形無し。書くとか描くとか、番組のことになると菜月先輩と圭斗先輩の強弱関係が完全に逆転するのが面白いですね。

「ところで、番組について3年生の先輩方にお尋ねしたいのですが」
「どうしたカンザキ」
「ん、僕で役に立てるかな?」
「過去にラジオメインでない大学の方と番組をやられた経験はありますか?」
「なるほど、朝霞君対策だね」
「ですね。何かありましたら」
「うーん、うちはあまり覚えにないなあ」
「そうですか」
「僕はスキー場DJで世界のシゲトラと組んだよ」
「ひっ、ふひっ」
「菜月、思い出し笑いかい?」

 ひーっと菜月先輩がツボにハマって思い出し笑いをしているのは措いといて。肝心なのはラジオメインでない人との番組の話です。
 私が何を聞きたいのかと言うと、ラジオメインでない大学の人がどのようにラジオ番組に向かって来るのかという部分の話なんです。

「私は朝霞先輩のことをあまりよく知りませんし、言ってしまえば朝霞先輩はそもそもアナウンサーでもないじゃないですか。どういう前提で話を進めていいのか少しわからなくて」
「ふむ。確かにね。彼自身もマイクに声を乗せる機会は年にあって2〜3回だと言っているし、3年生のアナウンサーの中では最も経験値が低いと見て間違いないだろうね」
「ただ、それでも一応スキー場DJには行ってるからそれなりに地力はある。心配するなカンザキ」
「ああ、そうなんですね」
「下手すりゃ圭斗よりよっぽどしっかりしてるぞ」
「ん、随分と手厳しいね」
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