shelved stories

□2013-2014
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■オイシイ物を目撃してされたお話

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 うわー、すげーの見ちまったー! うわこれ今すぐ圭斗とビッキーにメールしてやりてーなーちきしょいうずうずするー!
 確かに12月は24日に定例会をやるって噂は聞いてたけどこれお前マジかよ! 定例会終わりのデートを計算に入れるとか職権濫用もいいトコだなおいこの緑野郎!

「カズ、どうしたの?」
「あ、いや、こっちの話」

 俺の隣では慧梨夏がどうしたんだという目でこっちを見てくる。まあ、俺は俺でデート中なんですけどね。でもまさか共通の知り合いというワケでもない後輩の話をするワケにもいかず。
 一通り買い物を終えて、そのまま星港駅まで歩くかーって歩いてたらこうですよ。定例会終わりのLと直クンが一緒に歩いてるのを見つけるじゃないですか。まあ、気持ちは尾行ですよね。
 定例会終わりにこの2人が一緒にご飯に行くのは知ってたから、今回もかーって思ってたらいきなりLが直クンにマフラー巻くだろ? お前そんなキザなこと、圭斗クラスじゃねーとカッコつかねーぞ?

「じゃあ、うちもこっちの話してもいい? カズ、イブのデート中に萌え話禁止って言ったけど1コだけ」
「BLに発展しなきゃいいよ、1コだけな」
「うん。前の方を歩いてるカップルがさ、男の子の方が女の子にマフラー巻いてあげてたのー、女の子背高いじゃんね、カズよりきっと大きいよあの子。だからきっと普段の生活の中では王子様ポジションだよ? あれはわかるよショートカットだし後ろ姿から見てもイケメンもしくは美人オーラが漂ってるもん。王子様ポジションな子が彼氏とか好きな人からマフラー巻いてもらっちゃったらきゅんきゅんくるよねえ女の子として見られてるんだから」

 よかった、慧梨夏も見ているものが同じか。
 Lと直クンに対する萌え話を繰り広げながら慧梨夏は自分がしている赤白ボーダーのマフラーをきゅっと握りしめた。5年前に俺があげて、もう大分使い倒したそれを。
 ビッキーから聞く話によれば直クンがLのことを好きらしいし、きっと慧梨夏は今の直クンの気持ちが痛いほど理解出来るんだろうな。それと同じで、俺は今のLの気持ちが痛いほど理解出来る。

「お前も、きゅんきゅんした?」
「……もう1回、きゅんきゅんさせて」

 そう言って慧梨夏はマフラーをほどいた。手渡されたそれに残る温もりに、どうしたらいいかわかんないくらいドキドキして。恐る恐る、マフラーを慧梨夏に巻いてやれば、えへへとハニカむその様子がすごく可愛い。

「あー、あのカップル見失ったー、もっと萌えが転がってると思ったのにー」
「いや、慧梨夏今は俺だけ見とけよ」
「うっそー、カズもカッコいいこと言えるんだねー、きゅんきゅんした」
「それはどーも」

 すると携帯がブルブルと震え、一瞬ディスプレイをチラり。デート中ですがすみません、早急に確認したいメールだこれはきっと。
 ビッキーからというところで、内容が気になるだろ? ひょっとしたら俺が見たものも報告できるかもしれないと思ったらさ。

「うわー、マジかー」
「どうしたのカズ」
「他校の友達に見られたわー」

 Lと直クンのデート現場を押さえてやろうと定例会会場のオシャレビルから尾行をしていたらしいビッキーと福島さんの視界に飛び込んできたのが俺と慧梨夏で、Lが直クンにマフラーを巻いていたという報告がないところからすると、俺たちが衝立になっちまったんだなー。


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折れた心に寄り添って」の後、街を歩いてたL直を見かけちゃったバカップルのお話。
と言うかヒビキと紗希ちゃんも尾行してたっぽいけど青女メンバーでのパーティーはどうなったんだ?

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