shelved stories

□2013-2014
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■人脈の出来方のお話その2

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「それじゃ、お疲れさまでした」
「お疲れー」
「伊東、今日は飯どうする?」
「ゴメン、俺今日これから高校の友達と遊ぶことになってんだ」
「ん、わかったよ」

 今日も今日とて定例会。エリアのお祭りと夏合宿が終わるまではこんな感じで定例会も月1以上のペースでやってくんだろうなあ。
 とは言え、夏は遊んでナンボ。アタシもこれから麻見ちゃんの彼氏さんと、その友達と遊ぶことになってるからね。

「カズがこっち方面って珍しいね」
「ああ、友達から指定されたのがこっち方面でさ」
「そうなんだ」
「ビッキーはどこ行くの?」
「アタシもこれから友達の彼氏さんと遊ぶことになってんの」
「へー、そうなんだ。つか友達の彼氏いいのかよ彼女放置で遊んでるとか」
「そーゆーカズはどうなの」
「俺は現在進行形で放置されてんの」
「スイマセンデシタ」

 思えば、カズと2人でこうして歩いたり喋ったりすることは案外少ないことに気付く。方向も違うし、定例会の会議中にはきゃっきゃと盛り上がって圭斗から雷を一緒に落とされてるけど。
 こないだ拳悟クンから友達の話を聞いたら案外面白かったし、カズにも友達の話をしてもらったら面白いかもしれない。今日はどういう友達とどんな風に遊ぶのか、興味深いよね。

「カズの高校の友達ってどんな子?」
「まあ、高ピーとか」
「高崎クンは知ってるから別にいいよ。他に! あっ、彼女さんの話もなしだよいつも惚気聞いてるから」
「高校の友達なー」

 カズは、思ったよりも深刻な顔をして考え始めた。大学と言うか、インターフェイスでのイメージではカズは誰とでも仲が良くって、誰にでも分け隔てなく接するから友達が多い感じ。
 だけど、高校の友達について振った時のこの顔からすると。案外狭く深い付き合いをしていた可能性も浮上するよね。たくさんいるなら適当にパッと話せそうじゃん。ひょっとして高崎クンと彼女さんを封じたのがマズかった?

「まあ、厳密には高校の友達じゃないけど幼馴染みとか。あと1年の時に同じクラスだった自称今世紀最後の天才とか、あとすげー人懐っこい犬みてーな奴とか?」
「ナニソレ」
「でも本当にそうなんだって」
「でも犬みたいな子って友達多そうだね」
「実際めちゃ友達多いよ。それでいて彼女ともラブラブっつーかバカップルだし見てるこっちが恥ずかしくなってくるよ」
「カズ、それってブーメランじゃなくて?」
「いや、ホントにそうなんだって。あ、ちなみに今日俺のこと呼び出したのもその犬なんだけどさ」

 カズにバカップルって言われるってどんなバカップルなの。いやー、やっぱ上には上がいるんだなあ。すごいすごい。

「バカップルと言えばさ、こないだ紗希の友達の子の彼氏さん紹介してもらったのね?」
「へー、福島さんの友達の彼氏?」
「そうそう。そのカップルがまた結構なアレで。高校から付き合ってるっぽいんだけど。あ、ちなみに今日遊ぶのその彼氏さんなんだけど」
「あ、そうなんだ」

 しばらく歩きながらの友達談義は続いた。アタシもカズも、互いの行き先に疑問を持つことは全くなく、ただただ話に夢中。世の中には面白い子がいるもんだと。

「あー! カズが時間通りに来てるー! 奇跡じゃん!」
「うっせーぞ拳悟!」
「――ってヒビキちゃんじゃん! えっ、何でカズと一緒に!?」
「えー!? 待ってそこ2人知り合いなの!?」
「ビッキーさっき言ってた友達の彼氏って拳悟のことか! じゃあ福島さんの友達って麻見かー、世間って狭いなー」
「ちょっと待ってよカズ、俺が話についてけてないの」
「ああ、ビッキーは大学のサークルの友達。今も会議があって、方角が一緒だからって喋りながら来てた」
「なーんだ、それなら話は早いじゃん! リンちゃんももーすぐ来るってさー」


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例によって収拾つかなくなった


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