shelved stories

□2013-2014
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■人脈の出来方のお話

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「わー、こんにちはー! 俺こんなハーレムしちゃっていいのー?」
「何言ってんですかー、麻見ちゃんしか見えてないクセに」
「紗希ちゃんは手厳しいな〜」

 星港市某所カフェ。そこに麻見ちゃんと一緒にやってきた彼氏さんは、背の高い結構なイケメン。この人が噂の友達多くて優しい美容師さんか、確かにコミュ力は高そう。
 どうやら紗希は前に一度会ったことがあったらしく、顔を合わせた時点ですでにきゃっきゃと話し始めた。アタシはと言えば、いつ本題を切り出そうかと、タイミングを計っているワケで。

「で、何だっけ。ヒビキちゃんが友達紹介して欲しいんだっけ?」
「あ、伝わってたんだ」
「ゴメン、言わない方が良かった?」
「ううん、全然問題ないない!」
「友達ねー、彼女いない奴の方がいいよねー」

 ちょっと待ってね、と思い当たる節があるのか、彼氏さんは指折り数え始めた。何となくだけど、結構期待出来そうな雰囲気。さあ、ドンと来いイケメンデータベース!

「ヒビキちゃん将来玉の輿に乗りたいって言ってたし、今星大にいて、お金にはしっかりしてるのがいるよ。研究職志望でもちろん頭はいいから将来はひと当てするかも!」
「なるほど、ギャンブルね。で、顔とスタイル、あと性格は」
「顔は美形だね。細身で、背は結構あるし、スポーツも出来る」
「結構いいじゃん!」
「まあ、性格だよねー。結構なオレ様気質なところがあって、一言で言うと気難しい。女の子には慎ましさと品の良さ、それとある程度の家事を求めたいらしい」
「えー、パスパス!」

 ちょっと今時そーゆーのを求められてもなー。って言うか慎ましさとか品の良さとかってアタシと一番縁遠いトコじゃんね。

「次はね、家が結構なボンボンで本人も王子様みたいな感じ。趣味は読書と料理で教職志望」
「元々お金持ちで顔も良くて知的とか。性格は?」
「性格は冷静かつ情熱家かな。でも基本落ち着いてるから」
「へー、そうなんだ。いいねえ!」
「でもソイツと付き合うとなったら、自分よりも奴の幼馴染みに時間を割かれることを覚悟しなきゃいけない」
「え、ナニソレ」
「家ぐるみの付き合いがあって、幼馴染みの野郎と一緒にいる時間が長いから。彼女がいてもそういうのは変わんないみたいだし」
「えー、それはちょっとカンベンして欲しいなあ」

 彼女なのに幼馴染みの男に負けるとかそれって結構な屈辱じゃない? スペックは結構良かったんだけどそういう人付き合いも結構難しいところだよねー。

「まだいる?」
「最後本丸かな。顔も性格も男前だから。中学ン時からの親友なんだけど」
「キタキタキタ! そーゆーの!」
「第一印象が気難しい感じだけど実は人情味に厚いし、いい奴なんだけどね。どこかドライに見られがちと言うか」
「厳しい系の人?」
「あー、そうかも。恋愛となるとー……本当に惚れるまでのハードルが高いけど、惚れた子にはガチで愛してくれるよ。今もそれでちょっと前に好きだった子引きずってるみたいだけどね」
「じゃあパス。そんなガチな人を引きずってて遊びたいだけのアタシがどうこう出来るワケないじゃん」
「そうだよねー、期待はずれでゴメンねー」
「でも友達としては面白そうだよね」
「そーなんだよ! だからアイツら最高なんだよ」

 ヨコシマな部分の事情は抜きにして、麻見ちゃんの彼氏さんにはどんな愉快な友達がいるのかっていう話をしてもらった。そしたら、やっぱ恋愛には結びつかなそうだけど、友達としては面白そうな子ばかり。
 今度遊ぶのに人数足りなかったら呼んで欲しいというお願いをして、彼氏さんと各種連絡手段を交換した。直電だろうがメールだろうがSNSだろうがドンと来い!

「そーいや聞いてなかったけど彼氏さん川崎さんて言うんだねー」
「えー、女の子から名字とかくすぐったいなー、タメだし友達なんだからフツーに下の名前で拳悟って呼んでよー」
「じゃ、また今度遊び誘ってね拳悟クン」
「了解」
「って言うか麻見ちゃんは彼氏がこんな遊び人でイヤにならない?」
「拳ちゃんは2人の時はもっと優しいから。ねー」
「ねー」
「……紗希、もしかしなくてもこの2人もバカップル?」
「うん、バカップルだよ。ヒビキならバカップル耐性は定例会である程度作られてるでしょ」
「まあね!」


end.


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人脈形成は先の先」に関連して。


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