shelved stories

□2012-2013
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■文化部発表会でいくつか

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 4月は、緑ヶ丘大学の文化会がばたばたする季節。
 毎年4月は文化会の学術発表会が行われる。丸2日かけて行われるイベントで、緑ヶ丘大学の文化会に属する部活が総出で部の活動報告やアピールをする。
 演劇部なら公演だし、軽音部ならライブ。中には部活の名前とは関係ない発表をする部活もあるけれど、それはそれとして楽しむお祭。ただ、準備が物凄く大変。

「関さんいる?」
「あ、大橋クンおつかれー」
「美術部に行ってきて。部誌の表紙がまだ来てないんだ。今美和子はいないはずだから、誰かに言って出してもらって」

 この準備で忙しくなるのは部長や文化会役員たち。うちの部は部長の大橋クンが役員だから今もバタバタと走り回っている。もちろんこの発表会での出し物の他に、通常の活動もある。それはそれで締め切りとの戦い。
 こうなると曜日や時間がなくなる。土日が潰れるのは当たり前だし、夜だって大学に泊り込むとか。アタシは一応部誌を任されている身だからそういうのは回避できてるけど、文化会全体のバタバタには十分巻き込まれている。

「それと、準備の人手が足りないから前日の夜出てきて。部誌もそのころには一段落ついてるはずだから」
「うそぉ〜」

 有無を言わさず深夜出勤が決まった感。うう…金曜の夜はいろいろ見なきゃいけないアニメとかがあるのにぃ〜! まあ、逆らったところで勝ち目はないけどさ。あずささんに愚痴ろうにもいないんじゃ美術部の部室に行く気も削がれる。
 部室の中から首を出して外の様子を窺えば、いろんな部活の人がバタバタと走り回っている。うーん、発表会に絡んでいるような感じの忙しさが滲み出てる。そんな中、「部誌の表紙下さい」なんて取り立てるのも勇気が要る。

「ほら、早く行ってきて」
「はぁ〜い、いってきまぁーす」

 とぼとぼと廊下を歩けば、後ろから反響しながら届く声。振り向けば、アタシを目掛けて足踏みを止めないあずささんの姿。

「あっ、関さん今どこに向かってる?」
「美術部ですー、いつもので」
「データね、留守番させてる2年に言えば出してくれるから」
「ありがとうございまーす」


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書いたのが2012年4月になってるから、ひょっとして去年出してるかもしれないけど。
緑ヶ丘大学文化会の学術発表会のお話。もうちょっと詰めて、これは本来短編でやるべき話でもある。

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