shelved stories

□2012-2013
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■膨らみすぎたそうめんの話(2)

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「流しそうめんの竹レールかー、ホームセンターとかにあるかなあ」
「果林先輩、自前で用意するんですか?」
「そうだよね、後が面倒だよね」

 大学近くのファストフード店。ポテトをつまみつまみ考えをまとめる。2日以内に高ピー先輩をぎゃふんと言わせるようなプレゼンをしないと流しそうめん大会は白紙になってしまう。このクソ暑いのに、それっくらいの楽しみがなくてどーすんの。半ば強制的に連れてきたタカちゃんに思いついたことを逐一吐き出して。

「タカちゃんは流しそうめん、どう?」
「楽しいと思いますよ」
「そうだよね」
「ただ、やっぱり竹のレールがネックですよね。どこにでもあるような物ではないですし。祭りの露店に出すようなかき氷やわたあめの機械をレンタルするような店は探せばあると思いますけど、流しそうめんは未知数ですね」
「そうか、レンタルか」

 自分で用意しなくても、そういうのを借りるお店や場所があればいい。探せばいいってことか。何もそこまで大規模にやろうってんじゃないから、本当に簡単でいいんだけどね。

「それか、バーベキュー場なんかではたまにそういうことが出来るような場所もありますよね。紅社にいた頃の話ですけど、確かバーベキュー場で流しそうめんをやってたのを見たことがあります」
「本当にそーゆーのあるの!?」
「あ、紅社での話ですよ? 向島ではどうかわかりませんけど……」

 バーベキュー場には心当たりがある。佐藤ゼミで5月にやったバーベキューの会場。大学から結構近くて、その気になれば徒歩でも行けるくらいの近さ。そこで流しそうめんが出来るかどうかはわからないけど調べてみる価値はある。そうとなれば即行動。後回しにすると忘れちゃうから。

「タカちゃん行くよっ!」
「えっ、どこへですか?」

 原付で10分もかからないくらいの場所にあるそのバーベキュー場。夏だけあって繁盛しているのか、結構賑わっているようだった。まさか今この場所に来るとは思わなかったのか、タカちゃんは展開の早さについて来れてないようだ。

「アタシの愛車も原付二種とかにしよっかなー」
「警察がいなくてよかったです」
「さーてリサーチリサーチ!」

 受付のある建物に入ると、バーベキューの料金表や備品レンタルカウンターがすぐ前に。これは好都合。ここにいる人に聞くのが一番早くて確実。

「スイマセーン」
「はい」
「ここって、バーベキューの他に流しそうめんとか出来たりしないですか?」
「あ、はい、承っております。日時はどうされますか?」

 とまあ、アタシとタカちゃんは呆気に取られたワケで。今日は予約をしにきたワケじゃなくて調べに来ただけ。必要なのは流しそうめんプランと備品どうこうのこと。

「流しそうめんってどういう感じでやってるんですか?」
「はい、外の階段を下りていただいたところにバーベキュー場があるのですが、そこからもう少し奥に行ったところに夏限定で流しそうめん台を設置させていただいております。費用はひと団体様1日2000円で、ご要望であればバーベキュー台もプラス1000円で予約することが出来ます。そうめんはお客様にご用意いただくということになります。ガス台はありますのでそこで茹でていただいて」
「他の物は持ち込み出来ますか?」
「はい。お酒などもお持ちこみいただけますが、持ち込みいただいた物のゴミに関してはお客様にお持ち帰りいただいておりますのでご了承ください」
「わかりましたー、ありがとうございますー」

 うーん、トントン拍子すぎて何が何やら。でも、とりあえず高ピー先輩をぎゃふんと言わせるだけの準備は整いそうだ。


つづく→

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