shelved novels

□2016+1 0622
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公式学年+1年

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「よう山口」
「あっ、朝霞クン。おはよう。って言うか結構久し振りだよね?」
「まあな。最近結構バイト入れてたし。それはそうと、お前明日ヒマか?」
「うん、夜はバイトだけど日中ならヒマだよ。どうかした?」
「明日、お前誕生日だろ? 先約とかないならどっか遊びに行こうかと思って」
「行く行く! 絶対行く!」

 ウ、ウソでしょ〜!? えっ、ちょっと待って朝霞クンからのお誘い!? ウソでしょ!? ねえ、夢ジャないよね!? うん、頬を抓ったらちゃんと痛い! ウソウソウソ……ねえちょっと待ってどうしたの。

「じゃあ決まりな。バイトっつーことは4時には解放した方がいいよな。えーと、そしたらちょっと早いけど朝の9時に俺の部屋集合でどうだ。ついでに起こしてくれ」
「うんうん、喜んで起こすよ〜!」

 どういう風の吹き回しかもわかんないんだけど、俺の誕生日だからって朝霞クンが俺と会ってくれるとか。今までのことを思うと喜びしかなくて、たとえ朝起こせって言われても喜んで起こすよね。
 今まではステージの台本を書いてる時期だから俺の誕生日なんて興味もないみたいな感じだった。ううん、6月組はまだいい方。朝霞クンの誕生日なんて本当に丸の池ステージの直前だからないにも等しくて。
 誕生日のことに触れても「それがステージに何の利益を生むのか」って言ってさあ。去年は無理矢理プリン食べさせたけど、やっぱり出来るならもう少しそれらしい誕生日の祝い方をしたいし。

 それが、祝われるなんて! しかも朝霞クンから!? ダメだ、まだどこかでこれは夢なんじゃないかって疑ってる。

「でも、何で急に誕生日なんて?」
「お前が明日誕生日なのは別に急じゃねーだろ。ずっと思ってはいたんだよ、厳密には宇部の誕生日くらいからな。俺は良くも悪くも部活ばっかりだったから、お前の誕生日だからどうしたみたいな感じだったし、俺の誕生日に至ってはそんなコトやってる場合じゃないって全部削ぎ落としてきてただろ」
「うん、そうだね」
「それでもお前は俺の誕生日だからっていろいろしてくれたからな。部活を引退して俺もやっとそういうことに目を向けられるようになったし。それに学生のうちにやっとかねーと、社会人になっちまったらなかなか出来ないだろうからな」
「そうだね、生活リズムもあるだろうし」
「それな。とにかく、明日9時な。うちに来てくれ」
「わかったよ〜」

 何かもう、今から楽しみ過ぎて寝れる気がしないよね。遠足の前の日の小学生みたい。でも本当にそんな感じ。今まではどこかに行くってときも大体俺が誘ってたし。朝霞クンからのお誘いっていうのがまず嬉しすぎてさ。
 って言うか、俺が朝霞クンの誕生日だからって無理矢理プリン食べさせたりしてたのも、「いろいろしてくれた」って思ってもらえてるだけで何もかもがムダじゃなかったんだって。あー、知ってたけど俺って朝霞クンに甘過ぎでしょ。
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