リクエスト夢(OP、SD)
□V・D(2011)〜藤真の場合〜
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休み時間の教室。
藤真と彼女は隣の席だった。
特に噂は聞かないが二人は結構仲がいいようで、こうして話してるのをよく見かける。
「なぁ」
「ん〜?」
「何か持ってねーの?」
「何かって何?」
「何でもいい。腹が減って死にそうだ」
「いきなり言われてもね〜」
彼女はゴソゴソとポケットを探った。
「あ、ミ○ティアならあるよ?」
「んなもん腹の足しになるか」
「そうだよね〜」
「あ〜、腹減った」
藤真は机に俯せる。
「昨日たくさんチョコレート貰ってたじゃん」
「ばーか、あんなモン学校に持って来たら大騒ぎだろ」
彼女はしばらく考えると「確かに」と確認するように頷いた。
そして今度は鞄を漁りはじめると、中から綺麗にラッピングされた小さな箱を取り出す。
「残念だけどこれくらいしかないわよ?」
彼女がそれを藤真に差し出すと、藤真は奪うように取り上げた。
「始めっから渡せばいーんだよ」
「何、その上から目線」
「お前がさっさと渡さねーからだろ?」
「あれだけ貰っといて、まだ欲しいわけ?」
「別にチョコレートなんて欲しくねーよ」
「残念だけどそれもチョコレートです!」
「本命からは別なんだよ!」
「何それ、意味わかんな………」
彼女は言葉を言いかけて、途中で言うのを止めた。
そしてみるみる内に顔が赤くなっていく。
「え?今のって…」
「食っていいのかよ?手作りだろ?」
「え…えっと、うん」
真っ赤になった彼女に、同じく真っ赤になった藤真。
「いちおう…アンタのために作ったんだから」
「…おう」
最後はお互いに俯いていたが、それでも思いは通じたらしい。
オレはそんな甘酸っぱい二人の物語の始まりを、遠くでみていた傍観者。
『藤真、寝ちゃった』
『昨日は寝てないって言ってたからな』
『どうして?』
『本命の彼女が持ってたチョコレートの行方が気になって、一睡も出来なかったんだとさ』
―――――
語り花形(笑)
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