短編

□愛していたキオク
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消えていく

アナタとの大切な記憶が
消されていく…





私の記憶は消されている。
任務に失敗し白蘭の手に落ちた私。


君、気に入った。僕のものになりなよ。


悪魔のような囁き。


そして、私が余りにも拒むので白蘭は痺れをきらした。


ねぇ、すべて忘れちゃえば嫌がることもなくなるよね。
だから、そのいらない記憶消けしちゃうね。


そう言って、記憶を消す効果のある薬を飲まされ今に至る。

その薬は全ての記憶が一気に消えるのではなく徐々に消えていくものらしい。

だから、大好きな彼との記憶が徐々になくなる。

消えていくのはそれだけではなく、他の記憶もいっしょに消えすべてが無くなっていく。

「あぁ…、無くならないでっ、消えないでっ…
くっ…、」

泣いてみるものの何も変わるはずがなく、記憶は消されていく。

「あ、あれ…、私はなんで泣いてるの…
それすらも分らない。」

私は消えていく記憶を惜しみ泣くしか出来ない。
そして、どうして泣いているのかも忘れる。
でも、涙だけは自然に出ていく…。


急に意識が朦朧としてきた。今ここで意識を手放せば次起きた時、私は何も覚えていないだろう。
だからせめて、まだ覚えているうちに言いたい。

「大好きだったよ…
とても愛してた…、この気持ち忘れたくないよ…」

その瞬間意識が一気に遠のいた。



〜愛していたキオク〜

(私はアナタのことを忘れるだろう)
(だけどアナタには覚えていてほしい…)
(ごめんなさい…)

*終わり*

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