Gift

□持つべきものは、
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「はぁー」
今は下忍の任務中。
アカデミーの書棚整理をしているのだが、不親切にもヒーターなどは点いていない。
寒さで冷たくなった手に吹きかける息は白い。
木の葉は年間を通して温かいのだが、年末の一時はその反動のように一気に冷え込む。
ここにはカカシもいるし、無駄にチャクラを削ろうとも思わないので、ふたりともいつもの服を着ているだけ。
見た目でいえばサクラの方がずっと寒そうである。
「サクラちゃん、」
  少し離れたところで作業をしていたサクラに声をかける。
「何?ナルト」
「だいじょーぶかってばよ?寒くないってば?」
「寒いに決まってるじゃない!でも、女の子は強いから大丈夫よ」
「ほへ?どーゆう意味だてば?」
「そんなことより手を動かしなさい!早く終わらせて帰るわよ」
「む〜、わかったってばよ」
サクラの言った意味は素で分からなかった。
彼女の言いようでは女の子が寒さに強いというわけではないらしい。
しかし大丈夫だ、というのだから理解に苦しむ。
例の如くカカシは遅れてきたものの、任務はまだ明るいうちに終了した。
もともとやることが少なかったのだ。
途中まではアカデミー教師たちの手によってされており、残りは3分の1ほどしかなかった。
おそらく火影の計らいだろう。
 サスケの件で表のナルトは今まで以上に修行に励んでいるが、もちろん暗部の方を休むわけにはいかない。
もう慣れた、と言ってしまえばそれまでだが、やはり綱手も心配なようで、時々、見え見えの気遣いをしているのだ。
「じゃ、今日はここまでな」
 ナルトの頭をぽんっと撫でたあと、カカシは瞬身の術で消えた。
「ナ〜ルト」
「…な、何ですか?」
 カカシの行ったのを確認すると、サクラがナルトの腕をチャクラ付きで逃がさないように掴んだ。
「ものは相談なんだけど…」






「はぁ…」
「惺燈?」
「…何でもない、行くぞ」
「御意」
 夜闇に溶け込み蠢くは忍び。
気配を絶って背後から敵を仕留めるは、まるで獲物を狩る獣のよう。
「任務完了…冥俐、今日は先に帰ってくれないか?」
「…何故です?任務は終わったのですから、一緒に帰ってもいいでしょう?」
「…命令だ」
「っ、ナル!」
「シカ…大丈夫ですから、ね?それにこれから解部の方にも行かなくてはいけないでしょう?私もすぐに帰りますから」
「…分かった」
惺燈は言葉通りすぐに帰ってきた。
けれどそれ一度にとどまらず、あの日からずっと任務が終わったというのに一人どこかに行ってしまう。
冥俐ことシカマルとしては、恋人である惺燈ことナルトが自分に何も言わずにどこに行っているのかが気になって仕方がないのだが、ついてこないように釘を刺されているので、動くことができないでいた。
おかげでシカマルの眉間には皺が刻まれっぱなしだ。
冥俐としているときはなかった皺が眉間に深く刻まれているものだから、解析部の者たちは目の前の書類より長の様子が気になって仕方がない。
 表は影分身に任せあるのだが、所詮はシカマル。
こちらもやはり不機嫌なオーラがシカマルを包んでいるので、周りの者たちは近づかないようにしていた。

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