Gift
□君の全てが愛しいから・・・・
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「シカって髪ってキレーだよな・・・」
風呂上りのシカマルの髪にゆったりと櫛を通しながら、ナルトが嬉しそうに言葉を零す。
「そうか・・・?」
自分ではそんなことを考えたことも感じたこともないシカマルは、思わぬ言葉にチラリと視線を上に向け、椅子に座る自分より上に あるナルトの顔を仰げば。
「うん、すっごくキレーだってばよ」
フワリと幸せそうにナルトが笑う。
そんなナルトの笑顔にシカマルも自然と口角を上げて。
「そりゃどーも・・・」
言葉はぶっきらぼうだが、その声はとても柔らかく。
シカマルが喜んでいるのだとナルトにもわかり、益々笑顔が深くなる。
いつもは無造作に頭頂部に1つにまとめられる髪は、暗部総隊長として裏の任務に就くときは上の部分だけまとめて後ろ髪は流している。
そしてこんな風に二人でいるときはそれすら解いていて・・・・
それがナルトは嬉しいのだ。
シカマルの寛ぎ具合が髪の結い具合に結びついているようで。
自分の前では素に戻っているのだと、その結われることのない髪が語っているようで・・・・
自分はただの下忍。
シカマルは暗部総隊長。
この実力の差は途方もない山や谷、壁としてナルトの前に立ち塞がっている。
どんなに必死で努力してもその溝は埋まらないようで。
ドタバタで、ドベで、ただど根性だけがとりえの自分。
諦めの悪さと元来の負けん気で『里の英雄』と言われるくらいには認められるようになったけど、シカマルの足元にはまだまだ遠く及ばなくて。
焦燥感に飲まれる日々。
置いていかれるのではないかという不安。
また孤独に戻ってしまうのではという恐怖。
努力してもそれがなかなか結果として現れないことが腹立たしく・・・そんな不器用な自分が不甲斐ないと思う。
でも。