同い年の親子シリーズ

□サイと父上の日
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「よし、今度は大丈夫」
 サイは自室で満足そうにリボンから手を放す。
 目の前には綺麗にラッピングされた緋色の薔薇の花束。
鮮やかな色と匂い立つ香りに思わず口元を緩めた。
 暗部の任務が休みだったサイは、シカマルとナルトが任務に出てからずっとこの薔薇の花束の準備をしていた。
 何のために薔薇の花束を作ったのか。
 その理由は先月の母の日に遡る。
 あの日、亡くなった母親に捧げる花だとは知らず白いカーネーションをナルトにプレゼントしてしまったサイ。
 当然酷く落ち込んだものの、ナルトもシカマルも気にすることなく優しく慰めてくれて。
その気持ちが嬉しくて、なんとか落ち着き、笑みを浮かべたサイにナルトが耳元で囁いた。
『母の日があるからには当然父の日もあるんだよ、サイ。シカにもプレゼント、よろしくね』
 父の日という行事があるとナルトに教えられたサイは、翌日から早速その日がいつなのか、どんなものをプレゼントしたら良いのか、図書館に行って調べた。
 そうして父の日が6月であり、薔薇の花を送るのだと知ったのだ。
 今度は母の日のような失敗を起こさないために薔薇の色についても調べることを怠らなかった。
 母の日同様、白の薔薇は亡くなった父親に送るもので、赤い薔薇を送るのが一般的だとしっかり確認した。
 その上で、花屋ではなく野生の薔薇の花の群生地を探し出して摘みに行き、赤い薔薇の中でも一際綺麗に見えた緋色の薔薇を選んで花束にしたのだ。
 ラッピングもしっかり勉強して綺麗に整えることもできた。
サイにとっては満足のいく出来栄えだ。
「父上、喜んでくれるといいな」
 後はシカマルに渡すだけ。
 ナルトの時も日付が変わってすぐの任務に帰って来た時間に渡した。
だから今度も同じ時間に渡すのだ。
 サイは時計を気にしながらシカマルが帰ってくるのをそわそわと待った。

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