本編1

□木ノ葉の知神
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 暗部達は一種の高揚にも似た思いが湧きあがり、目つきががらりと変わる。
新体制での暗殺戦術特殊部隊に所属できることを誇りと思い、恥じない働きをしたいと誰もが決意する。
 思惑通り暗部達の意識が変わったことに、蒼光と蒼闇はほくそ笑んだ。
この様子ならば彼らは期待以上の働きをしてくれることだろう。
「では理解できたようですので説明を続けます。通常、任務は三人一組班で行い、大規模な警戒態勢や戦レベルの任務の時は隊長の指示の下、隊ごとで行動することになります。また、SSS(トリプルエス)等の通常の班では難しい高ランク任務は総隊長の指示を仰ぎ、隊の隊長と補佐の三人一組で任務を行います。ああ、それと暗部の特性上、二重生活を送っている者が多いでしょうから表の任務で長期不在等、暗部の任務につけない場合については同じ所属隊の者が補い、必ず三人一組で任務を行ってください。私と蒼光は二人一組、もしくは単独で任務を行いますがあなた方は無謀です。今回組まれた三人一組班は通常の暗部任務を無理なくこなせるだけの力を考えて配置しています。無謀な行為で命を失って隊に迷惑をかけるくらいならしっかりと自重しなさい。良いですね」
「御意!」
 暗部達の強い意志の籠った返事に小さく笑みを浮かべた蒼闇は、一歩下がり蒼光に一礼する。
それを受けて蒼光が前に出ると赤、青、黄、緑の四色の腕章を取り出して皆に告げた。
「皆、新体制について把握できたな。ではこれから各隊の所属を発表する。今回、四つの隊は所属をわかりやすくするため色で分けてある。それぞれの所属の色の腕章を渡すから必ず腕につけろ。各隊の隊長は腕章に白のラインを補佐は黒のラインを入れ、その証とする。また、俺は白の腕章、蒼闇は黒の腕章を着用しているからそのつもりで」
 蒼光は軽く己の腕に通している白の腕章を見せた。
 暗部達はそれに頷きながらも、蒼光の持つ四色の腕章のどれが自分の色になるのか気になり、自然と目が行ってしまう。
 その中で鵠紫は他に気になることがでて来て思わず口を開いた。
「あの、蒼光様、隊に名はあるんですか」
 突然質問の声を発した鵠紫に、蒼光は呆れを含んだ声で答えた。
「鵠紫、お前少しは落ち着いて最後まで人の話を聞け。これから発表する所だったんだ」
「あ、す、すみません」
 赤面して謝罪する鵠紫に、暗部達もどっと笑い声を上げる。
所属の発表を意識しすぎて緊張し始めていた空気が一気に和んでいく。
「……これも一種の才能ですかね」
 蒼闇も怒る気が失せたのか、くすりと笑って見ていた。
「では、仕切り直しだ。四つの隊の一つ目は真赭隊(まそおたい)、色は赤。次に秘色隊(ひそくたい)、色は青。次に雌黄隊(しおうたい)、色は黄。そして緑青隊(ろくしょうたい)、色は緑だ。この四隊を総称して四色隊(ししょくたい)と言う」
「四色隊……」
 誰かが名前を呟く声が皆の胸に浸透する。
 隊に通称があるのとないのとではこうも気持ちが違うのか、とますます湧き上がる熱い思いに皆の士気が高まっていく。
 そして、いよいよ発表される各々の所属に蒼光へと視線を向けてごくりと息を飲んだ。

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