本編1

□木ノ葉の知神
4ページ/34ページ

 同刻、暗殺戦術特殊部隊の招集用広間に木ノ葉の全暗部が集合していた。
「久しぶりだな、全員が揃うなんて」
「ああ、そうだな。暗部はそんなに多くないが、こういう風に集まると結構壮観だよな」
「どうなると思う?」
「わからんよ。あの方々のお考えなど、俺達には到底推察できるもんじゃないしな」
 ざわざわと大きな声ではないが世間話に興じる暗部達の表情は期待と興奮。
 普段任務では感情を表に出さず淡々とこなさなければならない彼らのこのような状態は珍しいもの。人によっては暗部としての自覚がないと怒るかもしれない。
 だが、この場にいる暗部達はこの空気を収めようとする気はなかった。
 無理もない。今日の招集には特別な意味がある。
 今日彼らを招集したのは暗部総隊長蒼光と総副隊長蒼闇。
三か月前、うちは事件の簡単な真相を聞かされた時に彼らは暗部達にこう告げていた。
『暗部の部隊編成も最終段階に移ることになった。数ヶ月のうちには発表するからそのつもりでいてくれ』
 部隊編成の最終段階。
 それは蒼光、蒼闇が理想とした新体制が完全に整うということを意味している。そしてその新体制の発表が、今日行われるのだ。
 どのような体制になるのか、部隊の編成はどうなるのか。
自分達が組む相手は誰なのか。
 集まった暗部達の話は尽きない。
 蒼光と蒼闇が暗部総隊長、総副隊長に就任してから今まで、皆任務をこなしながら二人に鍛えられ、試験的にいろいろな相手と組んできた。
 そのためか、暗部に属する者全員が顔見知りとなり、互いにある程度の長所、短所を把握できるまでになっている。それが二人の意図したものであることも、この数年で皆おぼろげながら理解し始めていた。
「俺はこのままお前と組むのがやりやすくていいんだけどな」
「バカ、そんなの俺達が決めることじゃないだろ」

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ