本編1

□木ノ葉の知神
3ページ/34ページ

「で。諜報部隊の長の件はどうする? どうして俺にお鉢が回ってきたのかは知らないが、俺の兼任は難しいのでは」
「確かに難しいですね」
「やはり、無理かのう……」
 蒼光の言葉は蒼闇と三代目にとって予測された言葉だったため、嘆息しながら頷く。
「わかっていてあえて言い出さなければならないほど切羽詰まっているのはわかりますが、無理なものは無理だ」
「うむ、そうじゃな……」
 蒼光が無理だとはっきりいうのには理由がある。
 諜報部隊は常に時間との闘いだ。情報は生き物だとはよく言ったもので、一秒ごとに情報は変化する。
そのため、諜報部隊の長は常に諜報部隊の仕事を最優先にしなければならないのだ。
 暗部総隊長である蒼光にはそれが出来ない。
 暗部総隊長が受ける任務は国や里の存亡にかかわるようなものばかり。情報が大事であるとはいえ、任務を放りだすことなど絶対にできるわけがないのだ。
「……その件についても私に多少考えがあります。蒼光とも話し合ってから三代目に報告しますから少し時間を下さい」
「わかった。おぬしらに任せよう」
 三代目の言葉に、二人は軽く一礼して返す。
蒼闇が何を考えているのか気になる所ではあるが、今はそれよりも重要なことがある。
「では、三代目本題に入らせてもらいますがよろしいか」
「うむ。すまぬの」
「いえ。これが暗部新体制についての書類です」
 蒼光が差し出したのは束になった書類。
受け取った三代目はさっと目を通すと、感心したようにひとつ頷いた。
「……さすがじゃの。ここまで考えて作られた新体制、これからが楽しみなことじゃ」
「では、この内容で承認、ということでかまいませんか」
「よかろう。本日よりこの新体制での行動を承認する。任命が終わったら四隊長と共に来るがよい」
「御意」
 三代目の承認を貰った蒼光と蒼闇はにやりと楽しげな笑みを浮かべる。
今まで試行錯誤してここまで構成した新体制がいよいよ始動することに高揚せずにはいられない。
「そうじゃ、隊の通称は決めておるのか?」
 改めて書類を目にしながら訊ねた三代目に、退出しようとした蒼光と蒼闇は振り返って応えた。
「あまり凝った名は必要ないと思って簡単なものにした」
「色を表す四つの隊。その通称はその意のままに」
―――四色隊。
 二人同時に紡がれた通称を三代目は小さな声で繰り返すと満足げな笑みを浮かべて二人を見送った。

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ